導入|株価は下落、しかし売買代金は上位――“ねじれ”が示す市場の本音
株価だけを見れば、NECはここ数ヶ月、明確な下落トレンドにある。
だが一方で、売買代金上位に顔を出し、参加者の出入り(回転)が止まらない。この「価格と回転のねじれ」こそが、今週NECが“相場の中心そのものではないが、相場が無視できない場所”にいる理由だ。
材料面では、会社は「国内ITとANS(航空宇宙・防衛)が引き続き好調」としつつ、「テレコムサービスで将来の収益構造改善のための費用を3Qに計上」と明記している。──業績の芯は強いが、短期的な利益ノイズもある、という構図である。
これは「失望で切られた下げ」か? それとも「再評価に耐えるかを市場が値踏みしている局面」か?
この章のポイント
- 下落×売買代金上位=“需給の戦場化”
- 好材料(国内IT・ANS)とノイズ(テレコム構造改革費用)が同居
直近の株価と需給動向
現在株価(終値):4,311円(2026/2/6)

騰落率(近似)
- 3ヶ月(2025/11月高値圏→足元):高値圏から約▲25〜▲30%程度の調整(後述の“倍率収縮”局面)
- 1年:依然として中期では上昇レンジ内(ただしピークからの調整が深い)
※この局面の本質は「上げ材料の否定」より、高値圏で溜まったポジションの巻き戻し(需給)が先行しやすい点にある。
出来高・売買代金で見える“異変”
- 大型株にもかかわらず売買代金上位に浮上=短期資金・機関・個人が同時に回転している相
- 下落局面で回転が増えると、心理は「押し目」ではなく「損切り+戻り売り」になりやすい
チャート心理の解釈
- 上昇:テーマ(国内DX×防衛)で“説明可能な買い”が集まった
- 下落:期待の先食い後に、利益確定・見直し売り・回転の逆流が起きている
この章のポイント
- いまは「方向感」より「回転」が主役
- 需給の落ち着き(下げ止まり)確認なしの逆張りは難易度が高い
過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか
NECが公表している「業績推移データ(Historical Financial Data)」から、売上収益・営業利益・利益率・EPSを5年で俯瞰する。
単位は原資料が「10億円(In billions of yen)」表記。EPSは株式分割を遡及修正済みの注記あり。
主要業績(通期)
| 期末(3/31) | 売上収益 | 営業利益(OP) | 営業利益率 | EPS |
|---|---|---|---|---|
| 2022年度(2023/3) | 3,313.0 | 188.0 | 5.4% | 24.00円 |
| 2023年度(2024/3) | 3,477.3 | 223.6 | 6.4% | 86.70円 |
| 2024年度(2025/3) | 3,423.4 | 256.5 | 7.5% | 131.50円 |
(※同資料に2021年度データも掲載。)
成長の「質」
- 売上が急拡大というより、利益率の改善が効いている(OP率が上がる構図)
- 直近3Q累計でも増収・Non-GAAP営業利益増を会社が示しており、「業績の芯」は崩れていない
この章のポイント
- 物語は「数量爆増」ではなく、収益性の積み上げ(ミックス・構造改善)
- それでも株価が下がるのは、業績より期待倍率(multiple)の収縮が先行している可能性
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財務とキャッシュフロー|“耐久力”があるか
歴史データ上、2025/3期時点での指標により、財務の安定度は一定確保されている。
- 自己資本比率:45.2%(2025/3/31)
- 現金及び現金同等物の期末残高(同資料に掲載)
金利上昇・不況局面への耐性(見立て)
- 自己資本比率45%台は、国内大型SI・インフラ企業としては“守備力”がある部類
- 一方で、公共・大規模案件ビジネスは運転資本と検収タイミングでCFが振れやすいため、四半期CFの形は決算資料で都度確認が必要
この章のポイント
- 財務は「急所」ではない(耐久力はある)
- 株価の主戦場は 受注・採算・構造改革コスト に移る
事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか
会社側の3Qコメントが示す、いま市場が見ている“勝ち筋”は明快だ。
- 国内IT:引き続き好調
- ANS(航空宇宙・防衛):引き続き好調
- テレコムサービス:将来の収益構造改善のための費用を計上(短期ノイズ)
ここで重要なのは、下落局面では「好調」よりも「ノイズ(費用・先行投資)」が過大評価されやすい点。回転が増えている時ほど、悪材料の解釈が先行しやすい。
この章のポイント
- 市場が買うのは「国内IT×防衛」の複合テーマ
- だが売られる理由は「テレコム構造改革費用」の見通し不確実性
競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか
比較軸は「国内DXの実装力」「公共比率」「防衛含む社会インフラ」。競合としては富士通・日立などが自然。IFISの比較枠でも主要比較対象として並ぶ。
| 企業 | 主戦場 | NECが“相対的に選ばれやすい”論点 |
|---|---|---|
| 富士通(6702) | DX/コンサル〜SI | 公共・社会実装での案件構成、ANSのテーマ性 |
| 日立(6501) | 社会インフラ×IT | NECは「防衛×IT」の複合テーマが刺さる局面がある |
| 三菱電機(6503) | 制御・インフラ | “IT×公共”の物語ではNECの説明力が勝ちやすい局面 |
相場がNECに資金を回しやすい局面
- 「国内DX(公共)×安全保障(ANS)」という同時多発テーマが成立する時
- その反面、テーマの熱が冷めると倍率が縮みやすい(=今回の下落フェーズ)
この章のポイント
- 優位は“世界一”ではなく、国内での社会実装×テーマの交点
- よって株価は「実力」だけでなく「テーマ温度」にも左右される
成長ドライバーと時代背景
- 国内DX:公共・社会インフラ更新需要(案件の再現性が高い領域)
- 地政学×防衛:ANSの追い風(市場が“テーマとして買いやすい”)
この章のポイント
- ドライバーは景気循環より構造需要寄り
- ただし株価は短期的に「テーマの熱量」で上下しやすい
バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか
目先の論点は「利益が悪いか」ではなく、倍率が戻る条件が整うか。
IFIS株予報では、PER/PBR基準の理論株価で「割安」示唆の表示が出ている(比較枠の見え方として)。
解釈
- 高値局面:テーマと上方修正期待で倍率が拡張
- 下落局面:需給の巻き戻し+構造改革コスト懸念で倍率が収縮(multiple compression)
この章のポイント
- いまは“高い/安い”より「倍率再拡張のトリガー」探し
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アナリスト評価と市場コンセンサス
- コンセンサス:買い(強気買い7/買い3/中立2)
- 平均目標株価:6,479円(2026/2/8時点)
- 目標株価の引き上げ観測も出ている(例:欧州系証券が強気継続・目標引き上げの記載)
強気派の論点
- 国内IT・ANS好調、通期見通しの上方修正
慎重派の論点
- テレコム構造改革費用が短期利益のノイズになり、株価の戻りを抑える
この章のポイント
- “評価(目線)は上”だが、“足元の需給は下”という逆行
主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴
| リスク | 発生確率 | インパクト | トリガー |
|---|---|---|---|
| テレコム構造改革費用の長期化 | 中 | 中〜大 | 想定以上の費用計上・回復遅延 |
| 公共・防衛案件の遅延/採算悪化 | 低〜中 | 大 | 検収遅れ、仕様変更、コスト増 |
| 倍率の再収縮(地合い要因) | 中 | 中 | 金利上昇・リスクオフでテーマ株が冷える |
この章のポイント
- 最大の“見落としがち”は、業績そのものより費用の見通し(時間軸)
3〜5年シナリオ分析(強気/中立/弱気)
強気(再格付け)
- 国内IT・ANSの成長が継続、構造改革が収束 → 倍率再拡張
- 株価レンジ:6,000〜8,000円(コンセンサス水準を起点)
中立(横ばい回復)
- 業績は堅調だが倍率は戻り切らない
- 株価レンジ:4,500〜6,500円
弱気(費用長期化+需給悪化)
- コスト懸念が残り、戻り売り継続
- 株価レンジ:3,500〜4,500円
この章のポイント
- 分岐点は「国内IT・ANSの強さ」ではなく、構造改革の収束確度
長期投資家としての結論
結論:条件付きで“長期で戦える”寄り。ただし買い方が重要。
判断理由(要点)
- 会社が明言する通り、国内IT・ANSは好調(稼ぐ柱)
- 財務の耐久力(自己資本比率45%台)
- 市場コンセンサスは買い優勢で、見方は崩れていない
- ただし短期需給が荒く、一括投資はリスクが高い
向いている投資家像
- 分割で拾い、決算・進捗で厚くする“守備型テーマ投資家”
- “一本釣り”の短期逆張り派には不向き
この章のポイント
- 銘柄の質は残るが、足は荒い=分割・検証型が前提
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短期トレード視点(1〜3ヶ月)
- 重要イベント:決算・ガイダンス、構造改革の追加説明(株価がギャップしやすい)
- “相場の中心(回転の中心)”から外れる兆候:
- 出来高を伴わない戻り(戻り売りで止まる)
- 費用見通しが悪化する示唆
この章のポイント
- まずは下げ止まり+出来高の落ち着きを確認してから
具体的投資戦略(ミドルリスク前提)
※過度なレバレッジは推奨しません。
- エントリー(押し目)
- 「下げ止まり(安値更新が止まる)+出来高の沈静化」を条件に、分割で開始
- 利確目標
- 5,000円台:戻り売りが出やすい“最初の壁”
- 6,479円近辺:コンセンサス水準(需給改善が前提)
- 撤退ライン
- 安値更新を伴う下落トレンド再加速
- 構造改革費用の長期化示唆が強まる局面
この章のポイント
- “安いから買う”ではなく、需給が戻る兆しを見て買う
総合評価
- 総合評価:7.6 / 10
- 3行まとめ
- 国内IT・ANSという“勝ち筋”は明確
- ただし足元は需給主導の下落で、期待倍率が剥落中
- 再評価の鍵は「構造改革コストの収束確度」
この銘柄は今どのフェーズ?
「長期テーマは残るが、短期は“値踏み(試されている)”局面」
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。記載内容は執筆時点の公開情報に基づきますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断は必ずご自身の調査と判断で行ってください。金融商品には価格変動リスク等があり、損失が生じる可能性があります。なお本記事にはアフィリエイト広告(紹介リンク等)が含まれる場合がありますが、広告の有無にかかわらず、編集内容・評価は筆者の見解に基づき作成しています。




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