用語定義
本稿では、対時価総額売買代金比率=中心度と呼称する。
算出ロジック:対時価総額売買代金比率=売買代金(百万円換算)/時価総額(百万円)。
これは実質的に1日回転率(Turnover Ratio)を意味し、値が高いほど「その日、資金が強く集中していた銘柄」です。
また、中心度は以下でゾーン分けする。
- 中心度5%以上=異常値ゾーン
- 中心度3〜5%=強い資金集中
- 中心度1〜3%=通常の主役候補
総論:本日の相場
本日の日本市場は、「イランが米国に停戦交渉を打診した」との不確定な報道をきっかけに、地政学リスクへの過度な悲観が後退し、ショートカバーを伴う買い戻しが入りやすい地合いとなった。ただし、これがそのまま上昇基調への回帰を意味するかは別問題で、需給主導の反発色が強い。
中心度の分布を見ると、Top30のうち異常値ゾーン(5%超)が5銘柄、強い資金集中(3〜5%)が3銘柄と、資金は広く薄くではなく「狙い撃ち」で入っている。指数主導というより、非鉄・電線・半導体周辺などのテーマに資金が集中しやすい形で、指数を動かす銘柄と“本当に相場の中心にいた銘柄”がズレる余地が大きい。結論として、本日の相場構造は「テーマ循環+需給ショートカバー型相場」である。
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中心度Top30の構造分析
中心度Top30(表)
(中心度=売買代金÷時価総額、単位は入力データに準拠)
| 中心度順位 | コード | 銘柄名 | 中心度(%) | 売買代金(百万円) | 時価総額(百万円) | 売買代金順位 | 時価総額順位 | 前日比(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 5801 | 古河電気工業(株) | 12.71 | 255,617 | 2,011,534 | 4 | 120 | 2.85 |
| 2 | 6920 | レーザーテック(株) | 6.42 | 203,083 | 3,163,309 | 7 | 84 | 1.39 |
| 3 | 5016 | JX金属(株) | 6.37 | 238,847 | 3,748,206 | 6 | 75 | 3.35 |
| 4 | 5706 | 三井金属(株) | 5.66 | 111,138 | 1,961,885 | 15 | 122 | 4.08 |
| 5 | 285A | キオクシアホールディングス(株) | 5.48 | 605,964 | 11,064,924 | 1 | 24 | 5.48 |
| 6 | 5803 | (株)フジクラ | 4.97 | 242,877 | 4,884,357 | 5 | 60 | 3.72 |
| 7 | 4062 | イビデン(株) | 3.74 | 106,236 | 2,839,168 | 16 | 94 | 1.87 |
| 8 | 8136 | (株)サンリオ | 3.28 | 146,370 | 4,463,721 | 11 | 65 | 3.33 |
| 9 | 7309 | (株)シマノ | 2.78 | 44,235 | 1,590,757 | 53 | 146 | 0.72 |
| 10 | 7013 | (株)IHI | 2.75 | 95,774 | 3,483,716 | 18 | 78 | 5.03 |
| 11 | 6526 | (株)ソシオネクスト | 2.74 | 72,188 | 2,637,977 | 27 | 99 | 0.86 |
| 12 | 5802 | 住友電気工業(株) | 2.55 | 161,120 | 6,318,848 | 9 | 46 | 2.89 |
| 13 | 4506 | 住友ファーマ(株) | 2.50 | 47,509 | 1,900,262 | 50 | 128 | -0.59 |
| 14 | 6501 | (株)日立製作所 | 2.38 | 336,663 | 14,116,431 | 3 | 16 | 1.09 |
| 15 | 7012 | 川崎重工業(株) | 2.33 | 104,126 | 4,463,250 | 17 | 66 | 4.06 |
| 16 | 6146 | (株)ディスコ | 2.27 | 79,200 | 3,489,062 | 24 | 77 | 0.32 |
| 17 | 7011 | 三菱重工業(株) | 2.21 | 428,980 | 19,389,932 | 2 | 7 | 1.05 |
| 18 | 7974 | 任天堂(株) | 1.99 | 117,930 | 5,924,588 | 14 | 49 | 0.72 |
| 19 | 4568 | 第一三共(株) | 1.92 | 139,606 | 7,266,968 | 12 | 38 | 1.93 |
| 20 | 8035 | 東京エレクトロン(株) | 1.84 | 196,604 | 10,682,402 | 8 | 25 | 0.73 |
| 21 | 5253 | カバー(株) | 1.74 | 27,991 | 1,609,837 | 66 | 144 | 0.31 |
| 22 | 6857 | (株)アドバンテスト | 1.68 | 155,250 | 9,222,208 | 10 | 30 | 1.57 |
| 23 | 6758 | ソニーグループ(株) | 1.67 | 207,288 | 12,382,323 | 6 | 21 | 2.35 |
| 24 | 9984 | ソフトバンクグループ(株) | 1.62 | 170,262 | 10,494,123 | 9 | 26 | 2.34 |
| 25 | 6098 | (株)リクルートホールディングス | 1.59 | 131,807 | 8,287,813 | 13 | 33 | 1.74 |
| 26 | 9433 | KDDI(株) | 1.54 | 106,701 | 6,934,237 | 16 | 40 | 1.63 |
| 27 | 6954 | ファナック(株) | 1.49 | 58,268 | 3,916,718 | 35 | 72 | 0.75 |
| 28 | 9983 | (株)ファーストリテイリング | 1.44 | 90,629 | 6,291,720 | 20 | 47 | 0.68 |
| 29 | 8058 | 三菱商事(株) | 1.43 | 88,872 | 6,202,164 | 21 | 48 | 2.07 |
| 30 | 8801 | 三井不動産(株) | 1.42 | 80,187 | 5,639,834 | 23 | 52 | 1.89 |
業種クラスタリング
- 非鉄・電線(資源×電力インフラ):古河電工、JX金属、三井金属、フジクラ、住友電工
- 半導体・製造装置/検査(AI投資の受け皿):レーザーテック、ディスコ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソシオネクスト、イビデン、キオクシア
- 防衛・重工/大型コア+その他テーマ:三菱重工、IHI、川崎重工、(IP・コンテンツ)サンリオ、(通信・リート・総合商社など)日立、KDDI、リクルート、三井不動産、三菱商事 ほか
なぜこのセクターに資金が集まったのか
- 中心度の異常値ゾーンが非鉄・電線・半導体周辺に偏在している点が核心。地政学ヘッドラインでリスクオフが一服すると、短期資金は「分かりやすく値幅が出る」領域へ再流入しやすい。
- 非鉄・電線は、データセンター増設・電力網更新・AI投資の“裏側”に位置し、テーマの連鎖(AI→電力→素材・配線)で資金が乗りやすい。
- 半導体群は、指数寄与とは別に「売買回転が最も立ちやすい」ため、中心度が上がりやすい構造にある(=短期資金の器)。
一過性材料か、構造テーマか
- 構造テーマ寄り:電力インフラ(電線・素材)、半導体設備投資サイクル(検査・製造装置)。中心度が高い銘柄ほど「回転の速い資金」が入りやすいが、テーマ自体は中期で残り得る。
- 一過性リスク:ヘッドライン起点の買い戻しが剥落すると、中心度は急低下しやすい(特に異常値ゾーンの銘柄)。
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指数寄与度との対比分析(中心度 vs 指数)
- 日経平均(価格加重)は、一部の値がさ株の影響が強く、指数を動かす銘柄=“相場の中心”になりやすい一方、中心度(回転率)は「どれだけ資金が回ったか」を測るため、必ずしも一致しない。
- 今日のTop30は、時価総額順位が上位(例:三菱重工、日立、ソフトバンクG等)も含むが、中心度の最上位は時価総額順位が中位〜下位(例:古河電工:時価総額順位120位)でも成立している。これは「指数を押し上げた銘柄」と「資金が最も集中した銘柄」がズレ得る典型。
- TOPIX(時価総額加重)は大型株の影響が相対的に強いが、中心度ランキングでは大型株が“主役候補(1〜3%)”に留まり、異常値ゾーンはテーマの尖った銘柄に出やすい。
→ 結論:指数寄与度=市場の“重心”、中心度=市場の“熱量(回転)”。両者は重なりもするが、同一視すると見誤る。
資金の性質を推測
中心度(回転率)×時価総額規模×板の厚み(想定)で推定する。
- ヘッジファンド短期回転/アルゴ主導高速売買
異常値ゾーン(中心度5%超)に多い。古河電工、レーザーテック、JX金属、三井金属、キオクシアは、売買代金が厚く「回せる」ため、短期資金が集まりやすい。中心度が突出しているほど、ニュース連動・裁定・短期順張りの比率が上がる。 - 国内勢テーマ資金(裁量の循環)
フジクラ、サンリオ、重工3社(IHI・川崎重工・三菱重工)などは、テーマ浸透と個人・国内機関の循環が混ざりやすい。中心度3〜5%や2%台は、この“テーマ循環”の色が出やすい。 - 実需/年金系(低回転の基礎資金)
通信(KDDI)や不動産(大手)、超大型(大型消費・総合商社)で中心度が1〜2%台に収まる場合、指数・アセットアロケーション由来の資金がベースにありつつ、短期資金が上乗せした像が整合的。
中心銘柄ランク分類(S/A/B)
Sランク:中心度5%以上(異常値ゾーン=短期主役)
- 古河電工、レーザーテック、JX金属、三井金属、キオクシア
コメント:短期の主役としては最有力。ただし中心度が高すぎる局面は「買いの持続」より「回転の終盤」に注意。中期ではテーマ残存余地はあるが、短期の振れは荒い。
Aランク:中心度3〜5%(強い資金集中=中期中核候補を含む)
- フジクラ、イビデン、サンリオ
コメント:短期の主役級だが、Sよりは“テーマの実体”が残りやすい。中期中核候補としてはフジクラ・イビデン(インフラ/半導体周辺)を相対的に上位評価。サンリオはテーマの継続性はある一方、需給の反転も速い。
Bランク:中心度1〜3%(通常の主役候補=広い参加者)
- 三菱重工、日立、東エレク、アドバンテスト、ソフトバンクG、ソニー、商社、不動産、通信など
コメント:指数・機関資金と短期資金が混在しやすい“本流”。短期の主役というより、相場が崩れにくい時の中核として機能しやすい。一方で一過性材料で中心度が跳ねたわけではなく、相場環境の悪化時は全体連動の下落圧力を受ける。
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市場心理の解剖
- 強気材料:地政学リスクの「最悪織り込み」が一旦緩み、ショートカバーが入りやすかった。中心度の高い銘柄に資金が戻ったこと自体が、短期のリスク許容度回復を示す。
- 警戒材料:報道が不確定である以上、材料が剥落すれば反動も速い。中心度が異常値ゾーンの銘柄ほど、需給主導で上がった分、需給で落ちる。
- 崩れる場合のトリガー:
①ヘッドライン否定・続報なしでの失望、②米金利・為替の急変、③半導体周辺のリスクオフ再燃、④指数主力の失速で市場全体のリスク許容度が再低下——このあたりが現実的。
総括
本日は不確定報道を契機に悲観が後退し、買い戻しが優勢となったが、上昇トレンド復帰というより需給反発の色が濃い。中心度は異常値ゾーン5銘柄、強い資金集中3銘柄と“狙い撃ち”で、指数寄与より資金回転が相場を語る一日だった。中心度の高い銘柄ほど反動も速い点は要警戒。
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