用語定義
本記事では 対時価総額売買代金比率=「中心度」 と呼称します。
算出ロジック:中心度=売買代金(百万円換算)÷ 時価総額(百万円)。
これは実質的に 1日回転率(Turnover Ratio) を意味し、値が高いほど「その日、資金が強く集中していた銘柄」です。
あわせて、中心度5%以上=異常値ゾーン、中心度3〜5%=強い資金集中、中心度1〜3%=通常の主役候補 と定義します。
総論:本日の相場
本日は「指数の上下」よりも、「どこに資金が回転したか」が輪郭を作った一日だった。中心度の分布は明確に歪み、異常値ゾーンが3銘柄(中心度5%以上) 出現。さらに 3〜5%の強い資金集中が5銘柄 と続き、Top30の大半(22銘柄)は1〜3%に密集した。つまり、相場全体が均等に盛り上がったのではなく、特定テーマに短期資金が集中し、回転の速い売買で中心度が跳ねた構図である。
「本当に相場の中心にいた銘柄」は、売買代金の大きさだけではなく、中心度の極端な突出(異常値ゾーン)で判定すべきで、古河電工(11.94%)が象徴的だった。中心度の尾が太く、テーマ内の“資金の奪い合い”が起きた形である。
本日の相場構造は「テーマ循環型相場」 である。
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中心度Top30の構造分析(クラスタ/テーマ/マクロ接続)
中心度Top30
| 順位 | コード | 銘柄名 | 市場 | 中心度(%) | 異常値(>=5%) | 売買代金(百万円) | 時価総額(百万円) | 売買代金順位 | 時価総額順位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 5801 | 古河電気工業(株) | 東証PRM | 11.94 | YES | 251,664 | 2,107,287 | 4 | 122 |
| 2 | 5706 | 三井金属(株) | 東証PRM | 5.69 | YES | 126,381 | 2,220,829 | 13 | 116 |
| 3 | 6920 | レーザーテック(株) | 東証PRM | 5.14 | YES | 166,087 | 3,233,081 | 10 | 86 |
| 4 | 5803 | (株)フジクラ | 東証PRM | 4.69 | 394,488 | 8,409,918 | 2 | 32 | |
| 5 | 5016 | JX金属(株) | 東証PRM | 4.26 | 172,359 | 4,044,385 | 7 | 75 | |
| 6 | 9104 | (株)商船三井 | 東証PRM | 3.66 | 80,275 | 2,195,203 | 27 | 120 | |
| 7 | 285A | キオクシアホールディングス(株) | 東証PRM | 3.58 | 420,133 | 11,727,184 | 1 | 22 | |
| 8 | 8136 | (株)サンリオ | 東証PRM | 3.07 | 43,352 | 1,412,663 | 54 | 160 | |
| 9 | 7012 | 川崎重工業(株) | 東証PRM | 2.97 | 91,643 | 3,085,563 | 21 | 90 | |
| 10 | 9107 | 川崎汽船(株) | 東証PRM | 2.95 | 50,219 | 1,700,198 | 42 | 142 | |
| 11 | 5713 | 住友金属鉱山(株) | 東証PRM | 2.74 | 46,049 | 1,678,351 | 48 | 144 | |
| 12 | 9101 | 日本郵船(株) | 東証PRM | 2.36 | 78,195 | 3,317,013 | 29 | 83 | |
| 13 | 7013 | (株)IHI | 東証PRM | 2.21 | 82,769 | 3,742,369 | 25 | 79 | |
| 14 | 8306 | (株)三菱UFJフィナンシャル・グループ | 東証PRM | 2.06 | 258,542 | 12,557,409 | 3 | 20 | |
| 15 | 5802 | 住友電気工業(株) | 東証PRM | 2.01 | 44,131 | 2,191,155 | 51 | 121 | |
| 16 | 8058 | 三菱商事(株) | 東証PRM | 1.96 | 61,717 | 3,150,859 | 35 | 88 | |
| 17 | 8473 | SBIホールディングス(株) | 東証PRM | 1.95 | 32,577 | 1,672,789 | 68 | 145 | |
| 18 | 7003 | 三井E&S(株) | 東証PRM | 1.93 | 21,089 | 1,091,089 | 99 | 185 | |
| 19 | 8604 | 野村ホールディングス(株) | 東証PRM | 1.90 | 55,517 | 2,926,638 | 40 | 93 | |
| 20 | 8591 | オリックス(株) | 東証PRM | 1.80 | 52,764 | 2,929,746 | 41 | 92 | |
| 21 | 8316 | (株)三井住友フィナンシャルグループ | 東証PRM | 1.79 | 91,102 | 5,088,202 | 22 | 56 | |
| 22 | 9603 | (株)エイチ・アイ・エス | 東証PRM | 1.76 | 11,191 | 636,363 | 171 | 200 | |
| 23 | 3415 | (株)TOKYO BASE | 東証PRM | 1.73 | 7,718 | 445,505 | 214 | 200 | |
| 24 | 8035 | 東京エレクトロン(株) | 東証PRM | 1.70 | 256,086 | 15,074,500 | 5 | 16 | |
| 25 | 9502 | 中部電力(株) | 東証PRM | 1.68 | 28,637 | 1,704,650 | 79 | 141 | |
| 26 | 7751 | キヤノン(株) | 東証PRM | 1.66 | 55,892 | 3,365,853 | 39 | 82 | |
| 27 | 9432 | 日本電信電話(株) | 東証PRM | 1.65 | 56,602 | 3,438,666 | 38 | 81 | |
| 28 | 4502 | 武田薬品工業(株) | 東証PRM | 1.63 | 54,500 | 3,344,032 | 44 | 84 | |
| 29 | 5401 | 日本製鉄(株) | 東証PRM | 1.62 | 73,696 | 4,553,086 | 30 | 67 | |
| 30 | 8113 | ユニ・チャーム(株) | 東証PRM | 1.61 | 27,988 | 1,737,640 | 81 | 137 |
① 業種クラスタリング
中心度Top30は、売買代金の大きさではなく「回転率(中心度)」で資金の偏りを可視化する。3/2のTop30は、概ね以下のクラスターに分解できる。
- 電線・電力インフラ/光・通信(AIデータセンター連想)
古河電工、フジクラ、住友電工、(周辺として)中部電力 - 非鉄・資源・素材(価格・需給・サプライチェーン)
三井金属、JX金属、住友金属鉱山 - 半導体(製造装置・メモリ・周辺)
レーザーテック、キオクシアHD - 重工・防衛(政策テーマ+大型案件の期待)
川崎重工、IHI - 海運(市況循環・配当期待・需給の軽さ)
日本郵船、商船三井、川崎汽船 - IP・コンテンツ(個別材料+需給イベント)
サンリオ - メガバンク(指数より“需給の寄り”で中心度が上がる局面)
三菱UFJ、三井住友FG、みずほFG
この並びから読み取れるのは、中心度上位が単一セクターにだけでなく、「インフラ(電線)→素材(非鉄)→半導体→政策(防衛)→循環(海運)」へ資金が循環していることだ。中心度の観点では、セクター間の“資金の回転”そのものが相場の骨格になる。
② テーマ抽出
Top30をテーマに翻訳すると、少なくとも3本の太いストーリーが同時進行していた。
- AI・データセンターの“現場側”テーマ(電線・インフラ)
AI投資は半導体だけで完結せず、電力・配線・冷却・通信へ波及する。中心度が電線クラスターで突出したことは、物語の上流(半導体)から下流(インフラ)へ資金が移っているサインになり得る。 - サプライチェーン/資源・素材(非鉄)
非鉄は「マクロ(価格・景況)」「供給制約」「設備投資」の交差点にある。中心度が高い日は、長期のストック視点よりも、短期の需給(回転)で動く局面が多い。 - 政策レイヤー(防衛・重工)+循環レイヤー(海運)
防衛は政策と予算が材料になりやすく、短期のニュース・期待で中心度が上がりやすい。一方、海運は市況循環と株主還元の文脈で“資金の受け皿”になり、テーマ相場の中で回転対象になりやすい。
③ 政策・マクロ
3/2の中心度Top30は、マクロを一言でいえば 「投資(設備)×政策(安全保障)×循環(市況)」の重なり に資金が寄った構造である。
- 設備投資(AI・電力・インフラ):電線・インフラ銘柄の中心度上昇は、AIの“物理層”に資金が降りてきたことを示唆。
- 資源・素材:非鉄は景況や商品市況の影響を受けやすく、短期資金が入りやすい。中心度が高い局面は、ニュースフローだけでなく「回転が回る」土壌が整っている。
- 安全保障・防衛:政策の継続性が期待される領域で、テーマ資金の定着が起きやすい。
- 海運:外部環境(運賃・市況)の変化で“短期回転が成立しやすい”代表クラスター。
④ なぜこのセクターに資金が集まったのか
中心度は「資金が集中した」だけでなく、「どれだけ回転したか」を含む。よって、資金流入の理由は次の2層に分解できる。
- 理由A:構造的な期待(テーマの継続性)
AI投資の波及(半導体→インフラ)や政策(防衛)は、テーマが連続しやすい。ここは中期資金の入り口になり得る。 - 理由B:短期需給(回転が回る条件の成立)
異常値ゾーン(中心度5%以上)が出る日は、短期筋(アルゴ/ヘッジ/デイトレ)が“回しやすい銘柄”に集中し、中心度を押し上げる。つまり「材料の強さ」だけでなく「回転のしやすさ」が資金集中の原因になり得る。
⑤ 一過性材料か、構造テーマか
中心度Top30は“熱量”の指標であり、持続性は別途判定が要る。実務的には以下で切り分ける。
- 構造テーマ寄り:電線・半導体・防衛
連続材料(設備投資・政策)が出やすく、中心度が落ちても再点火しやすい。 - 一過性リスク高め:IP(イベント)、非鉄(商品・ニュースで急変)、海運(市況循環で振れやすい)
中心度が高い日は取りに行く資金が集まるが、回転停止も早い。
最終的に重要なのは、翌日以降に 「中心度が高いまま推移するのか」、あるいは 「売買代金は残るが中心度が急低下する(回転が止まる)」 のか。中心度の持続は、そのテーマが一過性か構造かを見分ける実務上の最短ルートになる。
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指数寄与度との対比分析(中心度 vs 指数)
結論から言うと、「指数に影響している銘柄」と「資金が集中している銘柄(高中心度)」は一致しにくい。
- 日経平均は価格ウェイト色が強く、寄与度は一部の大型・値がさ株に偏りやすい。一方、中心度は「時価総額に対する売買代金の比率」なので、中型株でも短期回転が入れば一気に上位化する。
- TOPIXは時価総額ウェイトで大型株の影響が大きいが、中心度は“回転率”なので、大型でも売買代金が爆発すれば上がる一方、通常は中型テーマ株が上位を取りやすい。
したがって、指数が動いた日でも「中心度トップ」が必ずしも寄与度トップではないし、逆に指数が静かな日でも、中心度上位で「資金の争奪戦」が起きる。ここに 中心度と指数寄与度の本質的な違い がある。
資金の性質を推測せよ(論理ベース)
中心度・時価総額規模・売買代金順位から、資金の性質は概ね以下の混合と推定できる。
- ヘッジファンド短期回転 / アルゴ主導高速売買(比率高め)
- 古河電工:中心度11.94%は異常値ゾーン。時価総額2.1兆円規模でここまで回すのは、ニュースだけでなく、短期筋の回転(裁定・モメンタム追随・アルゴ)が相当入っている示唆。
- 三井金属、レーザーテック:中心度5%台は“短期資金の戦場化”を示す水準。
- 国内勢テーマ資金(選別回転)
- フジクラ、JX金属、海運:中心度3〜5%は「強い資金集中」。板の厚みがある銘柄でも、テーマに沿って資金が集まりやすいゾーン。
- 実需/年金系・長期(相対的には低め)
- キオクシアHDは売買代金が巨大だが、中心度は3.58%。規模が大きい分、回転率は抑えられやすい。短期も入るが、指数・需給(大口の売買)要因が混在しやすいタイプ。
中心銘柄ランク分類とコメント
Sランク(中心度5%以上=異常値ゾーン)【短期主役:最優先】
- 古河電工(11.94%):短期主役 最上位。ただし中心度が突出しすぎており、翌日以降の中心度低下は反落トリガーにもなる。
- 三井金属(5.69%):短期主役。素材・非鉄の循環が継続するなら中期にも残り得るが、まずは回転の継続確認。
- レーザーテック(5.14%):短期主役。半導体関連は構造テーマ寄りだが、中心度が高い日は“ニュース×回転”色が強い。
Aランク(中心度3〜5%=強い資金集中)【中期中核候補になり得る】
- フジクラ(4.69%):資金集中が強い。テーマが続けば中期中核候補。
- JX金属(4.26%):資源・素材循環の中核候補。ただしイベント性が強い局面は一過性に注意。
- 商船三井(3.66%)、キオクシアHD(3.58%)、サンリオ(3.07%):
- 海運・半導体・IPで性格が異なる。中心度3%台は“主役圏”だが、サンリオは特に一過性(材料出尽くし)も起きやすい。
Bランク(中心度1〜3%=通常の主役候補)【広く参加、選別が重要】
- 川崎重工(2.97%)、川崎汽船(2.95%)、住友金属鉱山(2.74%)、日本郵船(2.36%)、IHI(2.21%)…ほか
- Bは「参加者が多い」ゾーン。ここから上に抜けて中心度が3%を超える銘柄が出ると、翌日の主役交代が起きやすい。
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市場心理の解剖
- 強気材料(心理の芯):テーマが連鎖(電線→素材→半導体→防衛/海運)し、資金の逃げ場が多い。中心度が上がるほど「短期でも取りに行く」心理が強い。
- 警戒材料(心理の割れ目):中心度異常値ゾーンの存在は、需給が過熱しやすい裏返し。特に中心度11.94%のような突出は、買いが一巡すると逆回転も速い。
- 崩れる場合のトリガー:
- 異常値ゾーン銘柄の中心度が急低下(回転停止)
- Top10のテーマが分散せず、特定テーマに偏り続ける(疲労)
- 売買代金順位は高いのに中心度が落ちる(価格が伸びない=上値の重さ)
総括
3/2の中心度(=売買代金〔百万円〕÷時価総額〔百万円〕、実質1日回転率)は、電線(古河電工・フジクラ・住友電工)と非鉄、半導体周辺、海運、防衛に資金が偏在。異常値ゾーンは古河電工11.94%、三井金属5.69%、レーザーテック5.14%。指数寄与の大物と中心度上位は必ずしも一致せず、短期回転(アルゴ/ヘッジ)優位の「テーマ循環型相場」だった。明日以降は高中心度銘柄の続伸よりも、中心度低下(回転率の鈍化)が先に出るかを確認したい。
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