分析基準日:2026年2月23日
導入|INPEXとは何者か/売買代金に“異変”はあるか
INPEXは日本最大級の資源開発会社で、主戦場は海外のLNG・原油・ガス(特に豪州イクシス等)です。収益はエネルギー市況(油価・ガス価格)と為替(円安)に強く連動し、加えて大型プロジェクトの操業・税制(豪州PRRT等)や投資判断(FID)が株価の“物語”を左右します。
足元、INPEXは売買代金ランキングで常時上位の常連ではない一方、2026年2月時点では株価が大きく上昇し、出来高もイベント日に跳ねています。例えば2026/2/20の終値は3,677円(売買代金約327.79億円、出来高約888万株)と、指数連動の惰性では説明しづらい「主役級の資金」を一時的に呼び込む局面が出ています。
SNS・ニュースの温度感は、単なる「原油高」だけでなく、イクシスの安定稼働と中期の成長オプションであるアバディLNG(インドネシア)の進捗期待、さらに株主還元(増配・自社株買い)を絡めた“資源株の再評価”が混ざる構図です。アバディについては、需要の引き合いが強く、最終投資決定(FID)を2027年想定とする旨が報じられています。
さて、
この上昇は「資源株の循環物色=一過性」で終わるのか。
それとも “LNG×円安×大型案件” の組み合わせで、INPEXが再び相場の中核(長期資金の受け皿)に戻る入口なのか―
―あなたはどちらのシナリオで見ていますか?
この章のポイント
- INPEXは「油価連動」だけでなく、大型LNG資産+投資案件+還元で評価が動く
- 売買代金は常時上位ではないが、イベントで資金が集まりやすい地合いになっている
直近の株価と需給動向|いま何が起きている?
① 現在株価
- 3,677円(2026/2/20終値)
- 年初来高値:4,002円(2026/2/12)
週足の5年間チャートを見てみましょう。

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② 騰落率(1ヶ月・3ヶ月・1年)
外部サイトの指数比較ベースですが、足元の上昇トレンドの強さは明確です。
- 1ヶ月:+15.92%
- 3ヶ月:+17.29%
- 1年:+93.37%
③ 出来高の変化(平常時比の目安)
決算発表前後で出来高が跳ねています。例として、2026/2/12は出来高約1,819万株と、通常日(500〜900万株程度のレンジが散見)より明確に厚い。
→ 需給イベント(決算・ガイダンス・還元)で“機関が触れる板”になっているサインです。
④ チャート形状と投資家心理
- 上昇局面:
- 踏み上げ(ショートの買い戻し)も混在するが、1年騰落+90%級は「テーマ化」しやすい
- 下落局面:
- 決算後に高値(4,002)を付けた後の押しは、失望というより“利確→再イン”の調整になりやすい(特に資源株はトレンドが続くと押し目を作る)
この章のポイント
- 直近はトレンド優勢、出来高はイベントで急増
- 「常時主役」ではなく、材料局面で中心化するタイプ
過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか
※以下は「売上高・営業利益・EPS」を同一口径で追える公開データ(IRBank)と、最新決算短信で整合確認しています。
① 5年推移(概観:億円換算は概略、表は原単位)
| 期末 | 売上高 | 営業利益 | EPS |
|---|---|---|---|
| 2021/12 | 1.22兆円 | 0.37兆円 | 98.2円 |
| 2022/12 | 2.32兆円 | 1.48兆円 | 465.2円 |
| 2023/12 | 2.22兆円 | 1.58兆円 | 385.3円 |
| 2024/12 | 2.27兆円 | 1.27兆円 | 345.3円 |
| 2025/12 | 2.01兆円 | 1.14兆円 | 330.8円 |
② 成長の「質」
- 2022〜2023:市況(油価・ガス)+円安の追い風で利益水準が一段上がった局面
- 2024〜2025:売上・利益はやや減益方向でも、依然として営業利益1兆円超を維持
③ 市場が再評価し始めたポイント
- 「資源株は循環」の見方に対し、INPEXは
- イクシス等の大型LNG資産が“基盤CF”を作れる
- アバディLNGなど中期オプションが残る(FIDは2027想定)
- 還元(配当・自社株買い)で資金が入りやすい
という “循環+構造”のハイブリッドで語れるようになった点。
この章のポイント
- 業績はピークアウトしても、利益体力は依然厚い
- 再評価は「油価」だけでなく、LNG基盤×成長案件×還元のセット
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財務とキャッシュフロー|この企業は“耐久力”があるか
① 自己資本比率・負債構造
- 自己資本比率:63.9%(2025/12)(前年差は低下)
- 社債及び借入金:約8,700億円(2025/12)
② キャッシュフロー(FY2025)
決算短信の本文説明では、
- 営業CF:6,938億円(前年差+391億円)
- 投資CF:▲6,687億円(前年差▲3,783億円)
- 財務CF:▲1,107億円
※連結CF計算書(表示形式)では「営業CF 6,547億円、投資CF ▲2,904億円」等の区分も併記されており、預金の出入り等の表示差が読み方の注意点です。
③ 不況局面・金利上昇局面への耐性
- 高い自己資本比率に加え、営業CF創出力が大きい一方、投資局面では投資CFが膨らみうる(成長投資と表裏)
- 金利上昇は資本コストを押し上げるが、INPEXの評価は結局 油価・為替・税制(豪州PRRT等)が支配的になりやすい
この章のポイント
- 自己資本比率63.9%は資源株としては強い部類
- 投資が増える局面では、CFの見え方(預金含む表示差)に注意
事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか
① セグメント別 売上・利益(FY2025)
決算説明会の参考データ集より(百万円):
| 区分 | 売上収益 | セグメント利益(損失) |
|---|---|---|
| 国内O&G | 192,176 | 22,452 |
| 海外O&G(イクシスPJ) | 334,854 | 270,801 |
| 海外O&G(その他PJ) | 1,486,928 | 131,790 |
| その他(再エネ・電力・CCS等) | 24,383 | ▲28,795 |
| 合計(調整前) | 2,038,342 | 396,249 |
利益構成の要点はシンプルです:
- 利益の大半は海外O&G(国内は小さい)
- 「その他」(再エネ・CCS等)は現状赤字だが、将来オプション枠
② 市場が評価している事業
- コア:イクシス+海外O&Gのキャッシュ創出
- 準コア:将来のLNG案件(アバディ)
- オプション:CCS・水素・再エネ(短期利益ではなく“将来の許可証”)
この章のポイント
- 稼ぎ頭は圧倒的に海外O&G
- “その他”は赤字でも、長期の評価材料(移行戦略)になり得る
競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか
比較軸(国内外 3〜5社)
- 国内:ENEOS、出光、コスモ(※下流・精製比率が高い企業が多い)
- 海外:Shell、TotalEnergies、ExxonMobil(超メジャー)
| 観点 | INPEX | 国内精製系 | 海外メジャー |
|---|---|---|---|
| 収益の源泉 | 上流(E&P)+LNG | 下流(精製・販売)比率高め | 上流〜下流の統合 |
| 変動要因 | 油価・為替・大型PJ | マージン・国内需要 | 市況+統合ポートフォリオ |
| “物語” | イクシスの基盤+アバディの成長オプション | 国内構造課題が付きまとう | エネルギー移行投資も巨大 |
相場が競合ではなくINPEXを選びやすい局面
- 「油価高」よりも、「円安×LNG×大型PJ」のストーリーが立つ時
- 国内精製系が“内需”に縛られる一方、INPEXは外需(LNG)寄りでテーマ化しやすい
この章のポイント
- INPEXは国内勢というより、投資家の頭の中では“LNG上流株”として扱われやすい
- テーマ相場では、統合石油より “純度の高いストーリー” が優位
成長ドライバーと時代背景|追い風か、逆風か
① マクロ(政策・地政学・為替)
- LNGは「移行燃料」として中期需要が残りやすい
- 地政学で供給不安が出るほど、長期契約・供給力の価値が上がる
- 円安は収益の円換算で追い風
② 企業固有のドライバー
- アバディLNG:買い手関心が強く、FIDは2027想定という報道
- 既存LNG(イクシス)の安定稼働:基盤CFの厚み(投資家が最も欲しい部分)
この章のポイント
- 追い風は「油価」単独ではなく、LNG供給価値×円安×PJ進捗
- 成長の鍵は アバディ(中期) と、基盤資産のトラブルレス運用
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バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか
① PER・PBRの目安(外部表示)
- 期末ベースPER推移はIRBankで参照可能(直近は低PER帯が多い歴史)。
② EV/EBITDA(簡易推計)
以下は“ざっくりでも投資判断に使える”ように、公開数値から簡易推計(概算)します。
- 株価:3,677円
- 発行済株式数:1,259,136,067株/自己株式:93,742,368株
- 社債及び借入金:870,064百万円
- 現金及び現金同等物:168,407百万円
- 営業利益:1,135,440百万円/減価償却費等:351,372百万円
計算(概算)
- 時価総額 ≒ 3,677円 ×(発行済−自己株)≒ 約4.29兆円
- ネット有利子負債 ≒ 0.87兆 − 0.17兆 ≒ 約0.70兆円
- EV ≒ 約4.99兆円
- EBITDA ≒ 営業利益+D&A ≒ 1.135兆+0.351兆 ≒ 約1.49兆円
- EV/EBITDA ≒ 約3.35倍(概算)
※あくまで簡易推計(預金・投資・リース等の調整未反映)。ただし「極端な割高」シグナルは出にくい水準感。
この章のポイント
- PER/PBRは参照ソースで差が出やすいが、EV/EBITDA概算では過熱一辺倒ではない
- ただし資源株は「バリュエーション」より前提(油価・為替・税・操業)が株価を決める
アナリスト評価と市場コンセンサス
- コンセンサス:中立
- 12か月目標株価:平均 3,301円(高値 4,300円/安値 2,750円)
- みんかぶでも「中立/予想株価3,301円」表示
読み方
現値が3,677円近辺だとすると、平均目標株価は“上値余地を大きく見ない”前提=
市場は「好材料は織り込みつつ、油価前提が崩れるリスクも同居」と見ている可能性が高い。
この章のポイント
- 目標株価平均は現値を下回りやすく、強気一色ではない
- =逆に言えば、上方シナリオは“条件付きで跳ねる”タイプ
主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴
| リスク | 発生確率 | インパクト | トリガー例 |
|---|---|---|---|
| 油価下落/ガス市況悪化 | 中 | 大 | 需要減速・供給過剰 |
| 円高反転 | 中 | 中〜大 | 日米金利差縮小 |
| 豪州税制(PRRT等)・操業要因 | 中 | 中 | 税負担増、保全・停止 |
| 大型PJの遅延(アバディ等) | 中 | 中 | FID遅延、コスト増 |
| 事故・トラブル(生産停止) | 低〜中 | 大 | 設備・天候・地政学 |
この章のポイント
- 最大の落とし穴は「業績」より、前提の崩れ(油価・為替・操業・税)
- 成長案件は夢があるが、遅延・コスト増が株価の天井を作りやすい
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ちょっと、コーヒーブレイク☕️
投資ルームに、というほどではないけれど、
TradingVeiwなどは複数のモニターでチャートを見ている方が値動きが掴みやすいと思います。
そんな高級なモニターは必要ないので、こんなのをいくらか繋げています。
よかったらどうぞ。

3〜5年シナリオ分析(強気/中立/弱気)
数字は“イメージレンジ”。資源株は前提で上下が大きいため、条件分岐として提示。
強気:LNG需要堅調+円安維持+アバディ前進
- 利益:高水準維持(営業利益1兆円近辺〜)
- 株価レンジ:4,000〜5,000円(テーマ継続+還元強化)
中立:市況は平準化、イクシス安定、案件は時間がかかる
- 利益:足踏み(減益でも体力維持)
- 株価レンジ:3,000〜4,000円(配当+トレンドで支え)
弱気:油価下落+円高+税負担増/操業要因
- 利益:大きく圧縮
- 株価レンジ:2,000〜3,000円(“循環株”に戻る)
相場が織り込み始めているのは?
足元の1年+90%級の上昇は「中立→強気寄り」を見始めた形。ただしアナリスト目標株価平均は強気を全面肯定していない。
この章のポイント
- 強気は“条件付き”、中立がベース、弱気は前提崩れで急に来る
- いまは 中立〜強気の間 を揺れている局面
長期投資家としての結論
結論:長期で戦える可能性は高いが、「コモディティ前提」を常に更新できる投資家向き。
判断理由(要点)
- 海外O&Gの利益比率が高く、稼ぐ力が太い
- 自己資本比率が高く、資源株としての耐久力がある
- 中期の成長オプション(アバディ等)が残る
- ただし、前提(油価・為替・税・操業)が変わると評価が反転しうる
向いている投資家像
- 守備型:配当・財務を重視しつつ、資源循環を受け入れられる人
- 成長志向:アバディ等の“案件進捗”を追える人(ニュース耐性が必要)
この章のポイント
- 長期OK。ただし「放置でOK」の銘柄ではなく、前提更新が必須
- LNG案件進捗を追える人ほど相性が良い
短期トレード視点(1〜3ヶ月)
- イベント:決算・ガイダンス、油価・為替急変、地政学ヘッドライン
- 需給:決算日の出来高急増(2/12)後は、押し目で再エントリーが入りやすい
上振れシナリオ
- 油価上昇/円安継続
- LNG案件の前進材料
下振れシナリオ
- 油価急落/円高
- 高値更新失敗→短期資金の手仕舞い
“相場の中心”から外れる兆候
- 出来高減少+戻り売り優勢
- 重要支持線割れ(後述)+ニュース反応鈍化
この章のポイント
- 短期はマクロ連動が強い
- 出来高が細ると“中心”から外れやすい
具体的投資戦略(ミドルリスク前提)
過度なレバレッジは推奨しません(資源株はギャップが出ます)。
押し目買いゾーン(目安)
- 第1ゾーン:3,400〜3,550円(直近上昇の押し目)
- 第2ゾーン:3,000〜3,200円(トレンド転換の攻防ライン)
※直近の高値は4,002円、現値は3,677円。まずは「高値圏の調整」を前提に段階分け。
利確目標(複数)
- ① 4,000円手前(年初来高値の再接近)
- ② 4,300円近辺(強気シナリオの“市場が見た天井候補”:アナリスト高値)
撤退ライン(理由つき)
- 3,000円割れ:中立シナリオから弱気に寄りやすい(需給が反転しやすい)
- 直近支持線を割って、出来高も戻らない場合は「中心離脱」を疑う
この章のポイント
- 押し目は段階的に。高値圏は“急落”もあるため 分割が合理的
- 4,000円は最重要の利確候補(市場参加者が意識しやすい)
総合評価
総合評価:8.0 / 10
- 直近の株価は強く、1年で主役級の上昇
- 売買代金は常時上位ではないが、イベントで中心化しやすい
- 稼ぎ頭は海外O&Gで、利益構造は明確
- 自己資本比率は63.9%と耐久力が高い
- 営業利益1兆円超の体力は残っている
- 成長オプション(アバディ)は期待の核だが、時間とコストがリスク
- 資源株ゆえ、油価・為替・税・操業の前提が全て
- バリュエーションは概算EV/EBITDAで極端な過熱は示しにくい
- アナリストは中立で、強気一色ではない
- よって「長期向き」だが、前提更新ができる投資家向け
この銘柄は今どのフェーズ?
→ 「循環株」から「LNG中核候補」へ、再格付けが進む“移行局面”。
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