INPEX(1605)—「資源株の復権」では片付けられない。いま市場が“中心”に引き寄せる理由

日本株

分析基準日:2026年2月23日

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  1. 導入|INPEXとは何者か/売買代金に“異変”はあるか
  2. 直近の株価と需給動向|いま何が起きている?
    1. ① 現在株価
    2. ② 騰落率(1ヶ月・3ヶ月・1年)
    3. ③ 出来高の変化(平常時比の目安)
    4. ④ チャート形状と投資家心理
  3. 過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか
    1. ① 5年推移(概観:億円換算は概略、表は原単位)
    2. ② 成長の「質」
    3. ③ 市場が再評価し始めたポイント
  4. 財務とキャッシュフロー|この企業は“耐久力”があるか
    1. ① 自己資本比率・負債構造
    2. ② キャッシュフロー(FY2025)
    3. ③ 不況局面・金利上昇局面への耐性
  5. 事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか
    1. ① セグメント別 売上・利益(FY2025)
    2. ② 市場が評価している事業
  6. 競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか
    1. 比較軸(国内外 3〜5社)
  7. 成長ドライバーと時代背景|追い風か、逆風か
    1. ① マクロ(政策・地政学・為替)
    2. ② 企業固有のドライバー
  8. バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか
    1. ① PER・PBRの目安(外部表示)
    2. ② EV/EBITDA(簡易推計)
  9. アナリスト評価と市場コンセンサス
  10. 主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴
  11. 3〜5年シナリオ分析(強気/中立/弱気)
    1. 強気:LNG需要堅調+円安維持+アバディ前進
    2. 中立:市況は平準化、イクシス安定、案件は時間がかかる
    3. 弱気:油価下落+円高+税負担増/操業要因
  12. 長期投資家としての結論
    1. 判断理由(要点)
    2. 向いている投資家像
  13. 短期トレード視点(1〜3ヶ月)
    1. 上振れシナリオ
    2. 下振れシナリオ
    3. “相場の中心”から外れる兆候
  14. 具体的投資戦略(ミドルリスク前提)
    1. 押し目買いゾーン(目安)
    2. 利確目標(複数)
    3. 撤退ライン(理由つき)
  15. 総合評価
    1. 総合評価:8.0 / 10

導入|INPEXとは何者か/売買代金に“異変”はあるか

INPEXは日本最大級の資源開発会社で、主戦場は海外のLNG・原油・ガス(特に豪州イクシス等)です。収益はエネルギー市況(油価・ガス価格)と為替(円安)に強く連動し、加えて大型プロジェクトの操業・税制(豪州PRRT等)や投資判断(FID)が株価の“物語”を左右します。

足元、INPEXは売買代金ランキングで常時上位の常連ではない一方、2026年2月時点では株価が大きく上昇し、出来高もイベント日に跳ねています。例えば2026/2/20の終値は3,677円(売買代金約327.79億円、出来高約888万株)と、指数連動の惰性では説明しづらい「主役級の資金」を一時的に呼び込む局面が出ています。 

SNS・ニュースの温度感は、単なる「原油高」だけでなく、イクシスの安定稼働と中期の成長オプションであるアバディLNG(インドネシア)の進捗期待、さらに株主還元(増配・自社株買い)を絡めた“資源株の再評価”が混ざる構図です。アバディについては、需要の引き合いが強く、最終投資決定(FID)を2027年想定とする旨が報じられています。 

さて、
この上昇は「資源株の循環物色=一過性」で終わるのか。
それとも “LNG×円安×大型案件” の組み合わせで、INPEXが再び相場の中核(長期資金の受け皿)に戻る入口なのか―

―あなたはどちらのシナリオで見ていますか?

この章のポイント

  • INPEXは「油価連動」だけでなく、大型LNG資産+投資案件+還元で評価が動く
  • 売買代金は常時上位ではないが、イベントで資金が集まりやすい地合いになっている 
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直近の株価と需給動向|いま何が起きている?

① 現在株価

  • 3,677円(2026/2/20終値)
  • 年初来高値:4,002円(2026/2/12)

週足の5年間チャートを見てみましょう。

「売り枯れ買い枯れリバーサルシグナルv1.0」と独自のブレイクアウト・インジケーター「Range Breakout(株式用)」を乗せて、BUYとSELLシグナルを描出しています。

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② 騰落率(1ヶ月・3ヶ月・1年)

外部サイトの指数比較ベースですが、足元の上昇トレンドの強さは明確です。

  • 1ヶ月:+15.92%
  • 3ヶ月:+17.29%
  • 1年:+93.37%

③ 出来高の変化(平常時比の目安)

決算発表前後で出来高が跳ねています。例として、2026/2/12は出来高約1,819万株と、通常日(500〜900万株程度のレンジが散見)より明確に厚い。 
→ 需給イベント(決算・ガイダンス・還元)で“機関が触れる板”になっているサインです。

④ チャート形状と投資家心理

  • 上昇局面:
    • 踏み上げ(ショートの買い戻し)も混在するが、1年騰落+90%級は「テーマ化」しやすい 
  • 下落局面:
    • 決算後に高値(4,002)を付けた後の押しは、失望というより“利確→再イン”の調整になりやすい(特に資源株はトレンドが続くと押し目を作る)

この章のポイント

  • 直近はトレンド優勢、出来高はイベントで急増 
  • 「常時主役」ではなく、材料局面で中心化するタイプ

過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか

※以下は「売上高・営業利益・EPS」を同一口径で追える公開データ(IRBank)と、最新決算短信で整合確認しています。 

① 5年推移(概観:億円換算は概略、表は原単位)

期末売上高営業利益EPS
2021/121.22兆円0.37兆円98.2円 
2022/122.32兆円1.48兆円465.2円 
2023/122.22兆円1.58兆円385.3円 
2024/122.27兆円1.27兆円345.3円 
2025/122.01兆円1.14兆円330.8円

② 成長の「質」

  • 2022〜2023:市況(油価・ガス)+円安の追い風で利益水準が一段上がった局面
  • 2024〜2025:売上・利益はやや減益方向でも、依然として営業利益1兆円超を維持 

③ 市場が再評価し始めたポイント

  • 「資源株は循環」の見方に対し、INPEXは
    1. イクシス等の大型LNG資産が“基盤CF”を作れる
    2. アバディLNGなど中期オプションが残る(FIDは2027想定) 
    3. 還元(配当・自社株買い)で資金が入りやすい
      という “循環+構造”のハイブリッドで語れるようになった点。

この章のポイント

  • 業績はピークアウトしても、利益体力は依然厚い
  • 再評価は「油価」だけでなく、LNG基盤×成長案件×還元のセット

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財務とキャッシュフロー|この企業は“耐久力”があるか

① 自己資本比率・負債構造

  • 自己資本比率:63.9%(2025/12)(前年差は低下) 
  • 社債及び借入金:約8,700億円(2025/12)

② キャッシュフロー(FY2025)

決算短信の本文説明では、

  • 営業CF:6,938億円(前年差+391億円)
  • 投資CF:▲6,687億円(前年差▲3,783億円)
  • 財務CF:▲1,107億円

※連結CF計算書(表示形式)では「営業CF 6,547億円、投資CF ▲2,904億円」等の区分も併記されており、預金の出入り等の表示差が読み方の注意点です。 

③ 不況局面・金利上昇局面への耐性

  • 高い自己資本比率に加え、営業CF創出力が大きい一方、投資局面では投資CFが膨らみうる(成長投資と表裏) 
  • 金利上昇は資本コストを押し上げるが、INPEXの評価は結局 油価・為替・税制(豪州PRRT等)が支配的になりやすい

この章のポイント

  • 自己資本比率63.9%は資源株としては強い部類 
  • 投資が増える局面では、CFの見え方(預金含む表示差)に注意 

事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか

① セグメント別 売上・利益(FY2025)

決算説明会の参考データ集より(百万円): 

区分売上収益セグメント利益(損失)
国内O&G192,17622,452
海外O&G(イクシスPJ)334,854270,801
海外O&G(その他PJ)1,486,928131,790
その他(再エネ・電力・CCS等)24,383▲28,795
合計(調整前)2,038,342396,249

利益構成の要点はシンプルです:

  • 利益の大半は海外O&G(国内は小さい) 
  • 「その他」(再エネ・CCS等)は現状赤字だが、将来オプション枠 

② 市場が評価している事業

  • コア:イクシス+海外O&Gのキャッシュ創出
  • 準コア:将来のLNG案件(アバディ)
  • オプション:CCS・水素・再エネ(短期利益ではなく“将来の許可証”)

この章のポイント

  • 稼ぎ頭は圧倒的に海外O&G
  • “その他”は赤字でも、長期の評価材料(移行戦略)になり得る

競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか

比較軸(国内外 3〜5社)

  • 国内:ENEOS、出光、コスモ(※下流・精製比率が高い企業が多い)
  • 海外:Shell、TotalEnergies、ExxonMobil(超メジャー)
観点INPEX国内精製系海外メジャー
収益の源泉上流(E&P)+LNG下流(精製・販売)比率高め上流〜下流の統合
変動要因油価・為替・大型PJマージン・国内需要市況+統合ポートフォリオ
“物語”イクシスの基盤+アバディの成長オプション 国内構造課題が付きまとうエネルギー移行投資も巨大

相場が競合ではなくINPEXを選びやすい局面

  • 「油価高」よりも、「円安×LNG×大型PJ」のストーリーが立つ時
  • 国内精製系が“内需”に縛られる一方、INPEXは外需(LNG)寄りでテーマ化しやすい

この章のポイント

  • INPEXは国内勢というより、投資家の頭の中では“LNG上流株”として扱われやすい
  • テーマ相場では、統合石油より “純度の高いストーリー” が優位

成長ドライバーと時代背景|追い風か、逆風か

① マクロ(政策・地政学・為替)

  • LNGは「移行燃料」として中期需要が残りやすい
  • 地政学で供給不安が出るほど、長期契約・供給力の価値が上がる
  • 円安は収益の円換算で追い風

② 企業固有のドライバー

  • アバディLNG:買い手関心が強く、FIDは2027想定という報道 
  • 既存LNG(イクシス)の安定稼働:基盤CFの厚み(投資家が最も欲しい部分)

この章のポイント

  • 追い風は「油価」単独ではなく、LNG供給価値×円安×PJ進捗
  • 成長の鍵は アバディ(中期) と、基盤資産のトラブルレス運用 

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バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか

① PER・PBRの目安(外部表示)

  • 期末ベースPER推移はIRBankで参照可能(直近は低PER帯が多い歴史)。 

② EV/EBITDA(簡易推計)

以下は“ざっくりでも投資判断に使える”ように、公開数値から簡易推計(概算)します。

  • 株価:3,677円 
  • 発行済株式数:1,259,136,067株/自己株式:93,742,368株 
  • 社債及び借入金:870,064百万円 
  • 現金及び現金同等物:168,407百万円 
  • 営業利益:1,135,440百万円/減価償却費等:351,372百万円 

計算(概算)

  • 時価総額 ≒ 3,677円 ×(発行済−自己株)≒ 約4.29兆円
  • ネット有利子負債 ≒ 0.87兆 − 0.17兆 ≒ 約0.70兆円
  • EV ≒ 約4.99兆円
  • EBITDA ≒ 営業利益+D&A ≒ 1.135兆+0.351兆 ≒ 約1.49兆円
  • EV/EBITDA ≒ 約3.35倍(概算)

※あくまで簡易推計(預金・投資・リース等の調整未反映)。ただし「極端な割高」シグナルは出にくい水準感。

この章のポイント

  • PER/PBRは参照ソースで差が出やすいが、EV/EBITDA概算では過熱一辺倒ではない
  • ただし資源株は「バリュエーション」より前提(油価・為替・税・操業)が株価を決める

アナリスト評価と市場コンセンサス

  • コンセンサス:中立
  • 12か月目標株価:平均 3,301円(高値 4,300円/安値 2,750円) 
  • みんかぶでも「中立/予想株価3,301円」表示 

読み方
現値が3,677円近辺だとすると、平均目標株価は“上値余地を大きく見ない”前提=
市場は「好材料は織り込みつつ、油価前提が崩れるリスクも同居」と見ている可能性が高い。 

この章のポイント

  • 目標株価平均は現値を下回りやすく、強気一色ではない
  • =逆に言えば、上方シナリオは“条件付きで跳ねる”タイプ

主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴

リスク発生確率インパクトトリガー例
油価下落/ガス市況悪化需要減速・供給過剰
円高反転中〜大日米金利差縮小
豪州税制(PRRT等)・操業要因税負担増、保全・停止
大型PJの遅延(アバディ等)FID遅延、コスト増 
事故・トラブル(生産停止)低〜中設備・天候・地政学

この章のポイント

  • 最大の落とし穴は「業績」より、前提の崩れ(油価・為替・操業・税)
  • 成長案件は夢があるが、遅延・コスト増が株価の天井を作りやすい 

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ちょっと、コーヒーブレイク☕️

投資ルームに、というほどではないけれど、

TradingVeiwなどは複数のモニターでチャートを見ている方が値動きが掴みやすいと思います。

そんな高級なモニターは必要ないので、こんなのをいくらか繋げています。

よかったらどうぞ。


3〜5年シナリオ分析(強気/中立/弱気)

数字は“イメージレンジ”。資源株は前提で上下が大きいため、条件分岐として提示。

強気:LNG需要堅調+円安維持+アバディ前進

  • 利益:高水準維持(営業利益1兆円近辺〜) 
  • 株価レンジ:4,000〜5,000円(テーマ継続+還元強化)

中立:市況は平準化、イクシス安定、案件は時間がかかる

  • 利益:足踏み(減益でも体力維持) 
  • 株価レンジ:3,000〜4,000円(配当+トレンドで支え)

弱気:油価下落+円高+税負担増/操業要因

  • 利益:大きく圧縮
  • 株価レンジ:2,000〜3,000円(“循環株”に戻る)

相場が織り込み始めているのは?
足元の1年+90%級の上昇は「中立→強気寄り」を見始めた形。ただしアナリスト目標株価平均は強気を全面肯定していない。 

この章のポイント

  • 強気は“条件付き”、中立がベース、弱気は前提崩れで急に来る
  • いまは 中立〜強気の間 を揺れている局面

長期投資家としての結論

結論:長期で戦える可能性は高いが、「コモディティ前提」を常に更新できる投資家向き。

判断理由(要点)

  1. 海外O&Gの利益比率が高く、稼ぐ力が太い
  2. 自己資本比率が高く、資源株としての耐久力がある 
  3. 中期の成長オプション(アバディ等)が残る 
  4. ただし、前提(油価・為替・税・操業)が変わると評価が反転しうる 

向いている投資家像

  • 守備型:配当・財務を重視しつつ、資源循環を受け入れられる人
  • 成長志向:アバディ等の“案件進捗”を追える人(ニュース耐性が必要) 

この章のポイント

  • 長期OK。ただし「放置でOK」の銘柄ではなく、前提更新が必須
  • LNG案件進捗を追える人ほど相性が良い

短期トレード視点(1〜3ヶ月)

  • イベント:決算・ガイダンス、油価・為替急変、地政学ヘッドライン
  • 需給:決算日の出来高急増(2/12)後は、押し目で再エントリーが入りやすい 

上振れシナリオ

  • 油価上昇/円安継続
  • LNG案件の前進材料

下振れシナリオ

  • 油価急落/円高
  • 高値更新失敗→短期資金の手仕舞い

“相場の中心”から外れる兆候

  • 出来高減少+戻り売り優勢
  • 重要支持線割れ(後述)+ニュース反応鈍化

この章のポイント

  • 短期はマクロ連動が強い
  • 出来高が細ると“中心”から外れやすい

具体的投資戦略(ミドルリスク前提)

過度なレバレッジは推奨しません(資源株はギャップが出ます)。

押し目買いゾーン(目安)

  • 第1ゾーン:3,400〜3,550円(直近上昇の押し目)
  • 第2ゾーン:3,000〜3,200円(トレンド転換の攻防ライン)
    ※直近の高値は4,002円、現値は3,677円。まずは「高値圏の調整」を前提に段階分け。 

利確目標(複数)

  • ① 4,000円手前(年初来高値の再接近) 
  • ② 4,300円近辺(強気シナリオの“市場が見た天井候補”:アナリスト高値) 

撤退ライン(理由つき)

  • 3,000円割れ:中立シナリオから弱気に寄りやすい(需給が反転しやすい)
  • 直近支持線を割って、出来高も戻らない場合は「中心離脱」を疑う

この章のポイント

  • 押し目は段階的に。高値圏は“急落”もあるため 分割が合理的
  • 4,000円は最重要の利確候補(市場参加者が意識しやすい) 

総合評価

総合評価:8.0 / 10

  1. 直近の株価は強く、1年で主役級の上昇 
  2. 売買代金は常時上位ではないが、イベントで中心化しやすい 
  3. 稼ぎ頭は海外O&Gで、利益構造は明確 
  4. 自己資本比率は63.9%と耐久力が高い 
  5. 営業利益1兆円超の体力は残っている 
  6. 成長オプション(アバディ)は期待の核だが、時間とコストがリスク 
  7. 資源株ゆえ、油価・為替・税・操業の前提が全て 
  8. バリュエーションは概算EV/EBITDAで極端な過熱は示しにくい
  9. アナリストは中立で、強気一色ではない 
  10. よって「長期向き」だが、前提更新ができる投資家向け

この銘柄は今どのフェーズ?
→ 「循環株」から「LNG中核候補」へ、再格付けが進む“移行局面”

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