- 導入|なぜ今、この銘柄が“相場の中心”に立ったのか
- Oracleは何をしている会社か|“データベースの王”から“AIクラウドのインフラ屋”へ
- 直近の株価と需給動向
- 過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか
- 財務とキャッシュフロー|この企業は“耐久力”があるか
- 事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか
- 競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか
- 成長ドライバーと時代背景
- バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか
- アナリスト評価と市場コンセンサス
- 主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴
- 3〜5年シナリオ分析
- 長期投資家としての結論
- 短期トレード視点(1〜3ヶ月)
- 具体的投資戦略(ミドルリスク前提)
- 総合評価
導入|なぜ今、この銘柄が“相場の中心”に立ったのか
結論:ORCLはいま「AI時代のクラウド電力会社(=インフラ)」として買われ、同時に「投資負担(CAPEX・負債)の爆弾」として売られている。
この“評価軸の二重化”が、売買代金を押し上げています。
- 値動きの異変:2026年2月6日終値 $142.82(+4.65%)。直近の急落局面から自律反発が入りつつも、52週高値$345.72から▲17.13%(=前年同日比)のレンジにいる(=高ボラで需給が集まりやすい)。
- ニュース/機関の温度感:市場の焦点は「クラウド需要(特にAI向けOCI)」と「投資資金の調達・負債増」。資金調達計画や投資額増額が材料化し、短期勢も長期勢も巻き込む形で回転が上がった。
フック:これは“単なるAI材料株”か、それとも“AIインフラ覇権の入口”か?
そしてもう一つ——その覇権の代償(CAPEX/負債)を、市場はどこまで許容できるのか?
本章のポイント
- ORCLは「AIインフラ期待」と「資金負担懸念」が同時進行=売買代金が増えやすい構造
Oracleは何をしている会社か|“データベースの王”から“AIクラウドのインフラ屋”へ
Oracle(オラクル)は一言でいえば、企業の「基幹データ」と「基幹業務」を握るインフラ企業です。もともとは世界標準クラスのデータベース(DB)で巨大な地盤を作り、現在はその地盤を起点に、クラウド(OCI)と業務アプリ(ERP/HCMなど)へ重心を移しながら成長しています。
1) 何で稼いでいる?
収益の中核は大きく3つに整理できます。
- ① クラウドサービス&サポート(“ストック収益”)
データベースやミドルウェア、クラウド運用の保守・サブスク。
→ 解約されにくく、景気が悪くても粘りやすいのが強み。 - ② クラウドアプリ(業務システム)
企業の会計・人事・購買などを動かすERP/HCM系。
→ いったん入ると入れ替えが重い=継続課金が積み上がる。 - ③ インフラ(OCI)
ここが“相場の中心”化に直結。AI時代に必要な計算資源(GPU等)を提供し、
「AIを動かすための土台=クラウドインフラ」として存在感を強めています。
2) なぜOracleは「企業の心臓部」を握れるのか(=強み・堀)
- スイッチングコストが極めて高い
データベースや基幹システムは、企業の全業務・全データに直結。乗り換えは高コストで失敗リスクも大きい。 - エンタープライズの購買プロセスに強い
“個人の課金”ではなく、企業の予算(大型契約)で動く世界。Oracleはこの売り方が伝統的に得意。 - 基幹データ×クラウド×AIの接点を持つ
AIは「データがある場所」で強くなる。Oracleはその“データの本丸”を押さえている。
3) じゃあ、なぜ今になって“相場の中心”に?
ここが投資家の見立てが割れる点です。
- 期待:AIインフラの勝ち残り枠に入れるか
データセンター投資を増やしてでも、OCIでAI需要を取りに行く。
→ 成功すれば「守りのDB」から「攻めのAIクラウド」に再格付け。 - 恐れ:投資負担が重く、回収が遅れると株主価値が毀損する
インフラ勝負はCAPEX(設備投資)勝負。
→ ここが短期の株価を最も揺らす“火種”になる。
4) 投資家が見るべき“Oracleの見取り図”
- 長期の本質:
「基幹データの支配力」+「ストック収益」=粘り強い収益体質 - 短中期の焦点:
「OCI(AI需要)の伸び」 vs 「CAPEX・調達負担」 - 結論としての立ち位置:
Oracleは“アプリ企業”でも“半導体企業”でもなく、AI時代の“企業向けインフラ”として評価されにきている
本章のポイント
- Oracleは「DBと基幹業務を握る」ことで強いストック収益を持つ
- いま相場が見ているのは“OCIでAI需要を取り切れるか”と“投資回収の速度”
直近の株価と需給動向
1) 現在株価(分析基準日)
- 終値:$142.82(2026年2月6日)

2) 騰落率(1ヶ月・3ヶ月・1年)
(基準:Stooqのリターン表示)
- 1ヶ月:▲26.29%
- 3ヶ月:▲41.42%
- 1年:▲17.13%
3) 出来高の変化(平常時比)
- 出来高:29,962,414株
- 3ヶ月平均出来高:28,159,253株(≒平常時比 約1.06倍)
4) チャート形状と投資家心理
- 下落=“失望”というより「投資負担(CAPEX/資金調達)を織り込む再評価」が主因になりやすい局面。FT/WSJ/Reutersはいずれも、AI向けデータセンター投資拡大と負債・調達懸念を論点化。
- 2/6の反発は、過度な悲観の巻き戻し(ショートカバー+押し目拾い)が混在しやすい形。
本章のポイント
- リターンは崩れているのに出来高は落ちていない=「評価軸の衝突」で回転が高い
過去5年の業績推移|数字は物語を語っているか
Oracleの会計年度は概ね6月〜翌5月。以下は年次(FY2021〜FY2025)の推移。
業績推移(年次)
(単位:$m、EPSは$、Operating Marginは概算)
| Fiscal Year | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 | 希薄化EPS |
|---|---|---|---|---|
| FY2021 | 40,479 | 13,535 | 33.4% | 2.40 |
| FY2022 | 42,440 | 13,896 | 32.7% | 2.50 |
| FY2023 | 49,954 | 15,213 | 30.4% | 3.10 |
| FY2024 | 52,961 | 15,353 | 29.0% | 3.70 |
| FY2025 | 57,399 | 17,678 | 30.8% | 4.34 |
- 売上・営業利益は右肩上がり。
- 物語の核心は「数量増(クラウド利用/契約)×構造変化(サブスク/サポート比率増)」で、単なる値上げだけでは説明しにくい成長。
- FY2025では会社側がCloud services and license support revenues $44.0B(+12%)を明示。
市場が“再評価”し始めたポイント
- クラウド(特にOCI)のAI需要で成長率が再点火しうる、という期待(ただし“投資先行”が条件付き)。
本章のポイント
- 業績は伸びている。だが市場は「利益」だけでなく「投資効率」を見始めている
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財務とキャッシュフロー|この企業は“耐久力”があるか
1) 財務(FY2025/TTMの骨格)
- 総資産:$204,984m(TTM) / $168,361m(FY2025)
- 総負債:$174,527m(TTM) / $147,392m(FY2025)
- 株主資本:$30,457m(TTM) / $20,969m(FY2025)
- 総負債(Total Debt):$131,730m(TTM) / $108,952m(FY2025)
自己資本比率(概算):FY2025で 約12%(=20,969/168,361)。
“資本は厚くない”。だからこそ、投資拡大局面では調達・負債コストが株価に直撃しやすい。
2) キャッシュフロー(FY2025)
- 営業CF:$20,821m(会社発表でもFY2025の営業CF $20.8Bを言及)
- CAPEX:▲$21,215m(FY2025) → FCF:▲$394m(投資先行でフリーCFが毀損)
- ここが“相場の中心”化の源泉:成長の裏側で、キャッシュが燃える。
3) 金利上昇・信用コスト耐性
- Reuters/FTは、データセンター投資の増額と資金調達(負債・株式)を材料化し、債務負担への懸念も取り上げている。
本章のポイント
- “耐久力”は「営業CF」では強いが、「投資先行+負債厚め」で市場が神経質になりやすい
事業セグメント分析|どこで稼ぎ、どこに賭けているか
StockAnalysisのセグメント開示(TTM、2025年末時点)では以下。
| セグメント(TTM) | 売上 | コメント |
|---|---|---|
| Cloud Services and License Support | $44.03B | 中核。成長率もプラスで、投資家が最も評価 |
| Cloud License and On-Premise License | $5.20B | 減収基調が続きやすく、評価は上がりにくい |
| Services | $5.42B | 横ばい〜微増。景気感応度は相対的に高め |
| Hardware | $3.00B | 低成長。インフラ投資の文脈では補助的 |
市場が評価している事業
- ほぼ一択でクラウド(特にAI向けインフラ/OCI)。
まだ評価されにくい“将来の芽”
- “超大型の長期契約・バックログ”が実需に転換し、利益率とFCFが改善するフェーズ(=投資回収局面)に入れるかどうか。投資拡大はニュースで繰り返し焦点化。
本章のポイント
- ORCLは「クラウド1本足」。だからクラウド投資効率が株価の全てを決める
競合比較|なぜ「この企業」が選ばれているのか
クラウド/AIインフラの競争軸で見ると、比較相手は概ね以下:
- Microsoft(Azure)
- Amazon(AWS)
- Alphabet(Google Cloud)
- (アプリ領域の比較で)Salesforce / SAP 等
なぜORCLが相場で選ばれる局面があるのか
- 既存のデータベース/基幹システム顧客基盤が巨大で、クラウド移行・AI連携の“受け皿”になりやすい(=スイッチングコストの高さ)。
- 一方で、巨大勢(AWS/Azure/GCP)とのインフラ競争は設備投資と価格競争が避けづらく、そこが今の懸念点として顕在化。
本章のポイント
- ORCLは“顧客基盤”で選ばれ、インフラ競争の“投資負担”で売られる
成長ドライバーと時代背景
ドライバー:AI需要(計算資源)→ データセンター投資 → クラウド売上成長
ただし今は「成長=正義」ではなく、成長のための資本コストが問われる局面。
- 直近では、データセンター投資増額・資金調達計画がニュースで強く意識され、株価の変動要因になった。
本章のポイント
- 追い風は強いが、追い風に乗るための燃料(資金)が相場のブレーキにもなる
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バリュエーション評価|期待はどこまで織り込まれたか
(分析基準日近傍の指標)
- PER(TTM):約26.8倍
- Forward PER:約19.8倍
- EV/EBITDA:19.9倍(StockAnalysis表示)
解釈:
- “高いか?”→ 高い。ただし、クラウドが「投資回収フェーズ」に入るなら、“高く見えるだけ”に変わる余地がある。
- 逆に、CAPEX増と負債負担が先行し続けるなら、マルチプルが先に縮む(=株価が下で落ち着く)シナリオも現実的。
本章のポイント
- バリュエーションは“成長の質(FCF化)”のテスト待ち
アナリスト評価と市場コンセンサス
- MarketWatchでは、平均目標株価 約$279.97(高$400/低$155、中央値$275)といった分布が示されている。
- 乖離($142.82基準)は大きく、“期待の残り火”が強い一方、現実の論点は「投資負担がどこまで続くか」。
強気派の論点
- OCI/クラウド成長が加速し、契約残が売上・利益に転換する
弱気派の論点
- CAPEX拡大・調達・負債増で、株主価値(FCF/希薄化)が毀損しうる
本章のポイント
- コンセンサスは強気寄りだが、株価は「投資資金」の一点で揺さぶられている
主要リスク|相場がまだ見ていない落とし穴
| リスク | 発生確率 | インパクト | トリガー例 |
|---|---|---|---|
| CAPEX過大→FCF悪化の長期化 | 高 | 大 | 投資計画の再増額、稼働率/単価が想定未達 |
| 資金調達(負債/株式)で株主価値が希薄化 | 中〜高 | 大 | 大型増資/転換証券、ATM増発 |
| 競争激化(AWS/Azure/GCP)で価格圧力 | 中 | 中〜大 | 値下げ競争、主要顧客の分散 |
| 長期契約の履行・信用リスク | 中 | 中 | 顧客の投資計画変更、景気後退 |
本章のポイント
- “AI需要”より怖いのは、AI需要に備えた投資の回収が遅れること
3〜5年シナリオ分析
(あくまでレンジイメージ。市場がどこを織り込み始めているかを重視)
強気(回収フェーズ入り)
- 前提:OCI需要が継続、設備稼働が上がり、FCFが回復
- 株価レンジ:$220〜$320(マルチプル維持+利益成長)
中立(成長はするが投資負担が残る)
- 前提:売上成長は堅調、しかしCAPEXと調達でバリュエーションは抑制
- 株価レンジ:$140〜$220
弱気(投資効率悪化・希薄化)
- 前提:投資だけが増え、利益/FCF転換が遅れる
- 株価レンジ:$90〜$150
相場が織り込み始めているのは?
直近の急落とニュースの論点からは、中立〜弱気寄りを先に織り込み、強気の“回収ストーリー”を保留している印象。
本章のポイント
- いま市場が欲しいのは“成長率”ではなく、成長がFCFに変わる証拠
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長期投資家としての結論
スタンス:条件付きで「長期で戦える」——ただし“投資回収フェーズ入り”の確認が必須。
判断理由
- 売上・利益は中期で伸びている
- クラウド(中核)が巨大で、成長ドライバーが明確
- ただしFCFが投資先行で毀損し、負債も厚い
- 資金調達・投資計画が株価変動の中心材料
向いている投資家像
- 成長志向(ミドル〜やや強気):下落局面で分割、イベントでリバランス
- 守備型は、FCF回復の確認後でも遅くない
本章のポイント
- ORCLは“次の中核”候補だが、現時点では投資効率の検証待ち
短期トレード視点(1〜3ヶ月)
注目イベント
- 決算・ガイダンスでCAPEX/調達/受注(残高)の更新が出るたびに需給が傾く
- 直近の値動きは、資金調達や投資額ニュースで大きく反応している
“相場の中心”から外れる兆候
- 出来高が落ち、ニュース反応が鈍る
- 「CAPEX増」ニュースでも下げなくなる(=悪材料出尽くし)か、逆に「良い受注」でも上がらない(=需給悪化)
本章のポイント
- 短期は“業績”より“投資資金”がドライバー
具体的投資戦略(ミドルリスク前提)
(※価格は目安。レバレッジ過多は推奨しません)
- 押し目買いゾーン:
- 第1:$135〜$145(出来高を伴う下ヒゲで分割)
- 第2:$120〜$130(52週安値$118.86近辺、需給の最終防衛ライン)
- 利確目標(複数):
- 目標1:$160(戻りの節目)
- 目標2:$190〜$200(“投資回収”の兆しが出た場合の上値試し)
- 撤退ライン:
- $118割れで一段下(構造悪化を疑う)
- あるいは「調達/希薄化」情報が想定以上で、反発しても戻りが弱い局面
本章のポイント
- 勝ち筋は「悲観の織り込み→投資回収の兆し」で、確認が遅れると長期塩漬け化しやすい
総合評価
- 総合評価:7.5 / 10
評価理由
- クラウド中核の成長は本物で、業績のトレンドも強い
- ただし投資先行でFCFが毀損し、負債・調達が株価の重石
- いまは「次の中核」になれるかを、投資回収(FCF化)で試されるフェーズ
この銘柄は今どのフェーズ?
“AIインフラ期待”が先行し、いま“資本コスト(投資・負債)”で現実検証が始まったフェーズ。
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免責事項
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。記載内容は2026年2月6日時点の公開情報に基づき作成していますが、正確性・完全性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。市場環境や企業業績、金利・為替などにより価格は大きく変動し、元本割れの可能性があります。なお、本記事にはアフィリエイト広告(紹介リンク等)が含まれる場合がありますが、これが記事内容や評価に影響を与えるものではありません。




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