メガバンクが金利上昇で注目される局面で、「SBI新生銀行」が売買代金上位に顔を出してきた。
ポイントはシンプルで、(1) 再上場で“株としての流動性”が一気に上がったこと、そして (2) SBIグループが掲げる“第4のメガバンク構想”の中核に位置づけられていることだ。
さらに需給面では、上場関連の資料に海外投資家(海外売出し枠)・外資系証券も関与する構図が見え、短期資金の出入りが株価を動かしやすい。
直近の株価と推移
株価(2026/1/29 終値)
- 1,934円(前日比 +85円、+4.59%)
騰落率(参考:上場後のため期間が短い点に注意)

SBI新生銀行は2025/12/17に新規上場(再上場)したため、「3ヶ月・1年」の厳密比較は未成立。ここでは取得可能な範囲で示す。
| 期間 | 基準価格 | 2026/1/29 | 騰落率 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 1ヶ月(近似:2025/12/29終値→1/29終値) | 1,757円 | 1,934円 | +10.1% | Yahoo時系列 |
| 上場来(2025/12/17終値→1/29終値) | 1,623円 | 1,934円 | +19.2% | みんかぶ |
簡単なチャート傾向
- 上場直後の急騰→一服→再び上方向にトライ(ニュース/需給で振れやすい初期局面)
過去5年の業績推移
銀行は一般事業会社の「売上高・営業利益」ではなく、通常は経常収益・経常利益・純利益で比較します。
| 3月期 | 経常収益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | EPS(開示値) | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/3 | 3,972億円 | 375億円 | 279億円 | 13,685円 | 決算短信 |
| 2022/3 | 3,740億円 | 435億円 | 292億円 | 14,294円 | 決算短信 |
| 2023/3 | 3,792億円 | 473億円 | 369億円 | 179,349円 | 決算短信 |
| 2024/3 | 4,494億円 | 798億円 | 713億円 | 5,851,412円 | 決算短信 |
| 2025/3 | 5,573億円 | 856億円 | 678億円 | 846円(※) | 決算短信 |
※EPSは株式併合・分割・優先株等の影響で系列比較が歪みやすい。とくに2023/3〜2024/3の数値は単純比較に不向きなので、実務上は純利益トレンドを主に見るのが安全。
トレンド評価
- 2021→2025で、経常収益・利益ともに増勢(金利環境・運用/貸出・グループ連携の寄与が示唆)
財務状態(安全性・資金繰り)
自己資本比率など(参考指標)
- 自己資本比率(実績):4.7%(Yahooファイナンス表示)
※銀行は業態特性上、一般事業会社と単純比較は不可。BIS比率等の別指標も要確認。
キャッシュフロー(連結:2025/3期)
- 営業CF:+1.71兆円
- 投資CF:▲4,448億円
- 財務CF:▲7,836億円
- 現金及び現金同等物期末残高:5.51兆円
評価(資金繰り)
- 期末現金水準は大きく、短期の流動性懸念は相対的に小さい一方、銀行のCFは構造的に振れやすい(預金・市場取引・有価証券運用の影響)。
事業セグメント別の売上構成と利益構造
SBI新生銀行はIRで法人業務/個人業務/海外事業・証券投資・その他の区分で四半期ハイライトを開示している。
(例:2025年度Q2=2026/3期2Q相当、単位:億円)
※このページは複数の損益指標を並列表記しているため、ここでは「セグメント別の規模感」として読む。
| セグメント | 直近(2025年度Q2)の規模感(例) | コメント |
|---|---|---|
| 法人業務 | 266 | 金利上昇局面で収益機会が増えやすい領域 |
| 個人業務 | 490 | 規模最大。預金・ローン・グループ連携の受け皿 |
| 海外・証券投資・その他 | 29 | 変動要因になりやすい(投資・海外要素) |
稼ぎ頭 / 投資フェーズの見立て
- 稼ぎ頭:個人業務+法人業務(規模が大きい)
- 変動源:海外・証券投資(市況でブレやすい)
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競合企業との比較(国内メガバンク+次世代/海外大手)
SBI新生銀行(8303)は、SBIグループが掲げてきた「第4のメガバンク構想」の中核プレイヤーとして位置づけられています。
したがって比較対象は、①国内メガバンク(規模・資本効率・評価)、②ネット銀行(収益構造の違い)、③海外大手(グローバル評価軸)を置くのが合理的です。
競合ピックアップ
- 三菱UFJ FG(8306):国内最大級。金利上昇局面での稼ぐ力・ROE改善が焦点。
- 三井住友FG(8316):資本効率と株主還元の強さ、収益の粘りが比較軸。
- 楽天銀行(5838):預金×決済×証券連携の“デジタル金融”モデル(構造が全く違う競合)。
- HSBC(HSBC):世界の銀行株評価(P/B、資本効率)を測る“海外ベンチマーク”。
主要比較表(規模・収益性・バリュエーション)
※日本勢の株式指標はIRBankの株式指標(直近更新)を採用。
| 区分 | 企業 | 時価総額 | PER | PBR | ROE / RoTE | コメント(競争軸) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 比較対象 | SBI新生銀行(8303) | 約1.66兆円 | 約19.6倍 | 約1.61倍 | 約8.59% | “メガ級”を狙う再編ストーリーと評価が先行しやすい一方、ROEはメガバンク上位と比べ見劣り。 |
| 国内メガ | 三菱UFJ(8306) | 約32.6兆円 | 約16.5倍 | 約1.47倍 | 約11.46% | 規模と安定感。PBR/ROEの改善が続けば再評価余地。 |
| 国内メガ | 三井住友(8316) | 約20.6兆円 | 約17.5倍(予:約13.7倍) | 約1.36倍 | 約10.51% | 株主還元・資本効率で比較されやすい。 |
| 国内ネット | 楽天銀行(5838) | 約1.25兆円 | 約24.7倍(予:約19.5倍) | 約3.71倍 | 約16.12% | 高ROE・高PBR=“成長/効率”の評価。銀行というよりプラットフォーム企業に近い比較軸。 |
| 海外大手 | HSBC | 約2,986億ドル | — | 約1.50倍(2026年1月時点) | RoTE 14.6%(2024年) | 世界の銀行株は「P/B×資本効率(RoTE)」で評価されやすい。国内銀行にも同軸が波及。 |
“強み・弱み”を競合軸で整理
SBI新生が勝ち筋を作りやすい領域
- 再編・提携ドリブン:SBIが掲げる「第4のメガバンク」構想は、既存メガの有機成長とは別のゲーム。
- 投資家に刺さる物語:規模拡大+資本効率改善+成長投資の“同時進行”ができれば、メガ対比での再評価余地。
相対的な弱点になりやすい領域
- 資本効率(ROE)の見え方:現状のROEはメガ上位(MUFG/SMFG)やネット銀行(楽天銀行)に見劣りしやすい。
- バリュエーションの先行:PER/PBRはすでに“期待”を織り込みやすく、実行(収益・ROEの改善)が遅れると調整リスク。
成長ドライバー
① 「第4のメガバンク」構想(SBIグループ戦略)
- SBI側は、地銀連合・ネット金融・新生の機能を束ねて“第4のメガバンク”を目指す趣旨の発信をしている。
- ここが市場のストーリーになると、銀行株のなかで“テーマの中心”を取りやすい。
② 金利ある世界への回帰
- 銀行は金利環境が収益に影響しやすく、政策・長期金利の変化が株価の材料になりやすい(短期資金が集まりやすい)。
(※個別の金利感応度は開示資料で要確認)
③ 再上場による「株としての再評価」
- IPO情報では公開規模・初値指標(PER/PBR)が整理されており、市場が“価格”を付け直すステージに入ったこと自体が材料。
株価の割安性(PER・PBR・EV/EBITDA)
- PBR(実績):1.69倍、BPS 1,146.61円、ROE 8.81%(表示ベース)
- PER(会社予想):—(未表示)=会社予想EPSが表示されないため、サイトによっては算出不能。
- EV/EBITDA:銀行では一般に適用しにくい(負債=調達の性質が強いため)
評価
- ざっくり言えば、SBI新生銀行は「PBRが高い=期待が乗っている」部類。
- ただし「第4のメガバンク」構想が“実装フェーズ”に進むなら、評価はさらに動き得る。
アナリスト評価とコンセンサス(入手可能範囲)
- みんかぶ表示:アナリスト「中立」、目標株価 1,876円(表示時点)
- 現在値 1,934円との差:約 +3.1%(1,934÷1,876−1)
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会社が抱える主要リスク(インパクト×確率の目安)
| リスク分類 | 内容 | インパクト | 確率 |
|---|---|---|---|
| 規制・政策 | 金融規制、資本規制、政策金利の変化 | 大 | 中 |
| 金利・市場 | 債券評価、ヘッジコスト、運用損益の振れ | 中〜大 | 中 |
| 信用コスト | 景気後退局面で不良債権費用が増える | 大 | 低〜中 |
| グループ統合 | SBIグループ戦略の実行難度、統合コスト | 中 | 中 |
| 需給(上場初期) | 大口の売買で株価が振れやすい | 中 | 高 |
今後3〜5年シナリオ(強気・中立・弱気)
※レンジはイメージ。最重要は「前提条件」。
| シナリオ | 事業・利益 | 株価レンジ(目安) | 前提 |
|---|---|---|---|
| 強気 | 収益基盤拡大+統合効果が顕在化 | 2,200〜3,000円 | 第4メガ構想が具体案件として進展 |
| 中立 | 金利追い風はあるが統合は漸進 | 1,700〜2,300円 | 市場平均並みの再評価 |
| 弱気 | 市況悪化・信用コスト増・統合コスト先行 | 1,300〜1,800円 | 景気後退+金融株リスクオフ |
長期投資家としての判断(ミドルリスク・ミドルリターン)
結論:「買い寄り(ただし“段階的”)」
理由:
- 第4のメガバンク構想という“ストーリー”が明確(市場がテーマを付けやすい)
- 再上場で、株としての流動性・注目度が上がっている
- セグメント的に「個人」「法人」が太く、収益基盤は分散
- 一方でPBRはすでに期待を織り込みやすく、高値掴み回避が重要
短期トレード(1〜3ヶ月)の視点:外資系証券の関与“構図”に注目
短期はファンダ以上に「需給」と「イベント」で動く。
注目材料
- 次回決算発表予定:2026/2/4(短期ボラ要因)
- 上場関連の資料では、引受団に外資系証券(例:Goldman Sachs、BofA証券)が含まれ、また安定操作・シンジケートカバーの枠組みで市場買付が行われ得る旨が示されている。
- ここから「外資系証券の買いが入っている(入り得る)」という観測が立ちやすい
- ただし、日々の売買主体(いわゆる“手口”)を公式に断定できる情報ではない点は留意
想定パターン
- 上振れ:決算で上方の見え方/統合・提携の進捗IR
- 下振れ:決算失望/金融株全体のリスクオフ/需給悪化(上場初期の大口売り)
投資戦略の具体案(ミドルリスク・ミドルリターン前提)
※価格帯は「ゾーン設計」。上場初期で値幅が出やすい前提。
押し目買い候補ライン(ゾーン)
- ① 1,750〜1,820円:1ヶ月基準(12/29近辺)に近い“需給の芯”候補
- ② 1,600〜1,650円:上場来の起点(12/17終値付近)を意識
利確目標ライン(分割利確)
- ① 2,050〜2,100円:直近高値帯(52週高値が意識されやすい)
- ② 2,300円〜:材料が出たときの“テーマ加速”局面での上値目安(中立シナリオ上限)
撤退ライン(損切り/シナリオ崩壊)
- 1,550円割れ:上場直後の安値圏を明確に割ると、需給・ストーリーの再点検が必要
総合評価(10点満点)
7.2 / 10
- 第4のメガバンク構想という“テーマ性”が強く、資金が集まりやすい。
- 一方、上場初期で需給が振れやすく、買いは分割・押し目型が前提。
- PBRはすでに期待を織り込み気味で、材料の“実装”が追いつくかが勝負。
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