「銀行株の巨人は、今なぜ売られているのか — 利ザヤ拡大と将来成長のはざまで揺れる株価」
2026年に入ってから、三菱UFJフィナンシャルグループ(以下 “MUFG”)の株価は上値の重い展開が続いています。利回り・配当が魅力とされる一方で、世界経済の不透明感や金利動向の変化、短期マクロ懸念が投資家心理を冷やしていることが背景です。今週も売買代金上位に顔を出し、個人・機関の両方で注目される銘柄となっています。
直近の株価と推移(最新値:2026/1/28)

※株価は2026年1月28日終値を基準
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 現在株価(終値) | 約 2,750 円(2026/1/28) |
| 年初来高値 | 3,015円(2026/1/16) |
| 年初来安値 | 1,310円(2025/4/7) |
| PER | 約 16.6 倍(2026/1/27) |
| PBR | 約 1.48 倍 |
🟡 傾向: 1ヶ月・3ヶ月で見ると株価はやや「下降〜弱トレンド」。1年では大きく戻しているが、中期的には上値が重くボックス圏の動きに近いです。
過去5年の業績推移(主要数値)
※単位は百万円(売上高・利益)。EPSは円。
※2024年度は2024年3月期(FY2024)決算短信の実績値を使用。
| 会計年度 | 売上高(連結) | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS |
|---|---|---|---|---|---|
| 2021/03 | 6,025,336 | 397,000 | 397,000 | 777,018 | 約 60.5 |
| 2022/03 | 6,075,887 | 578,000 | 578,000 | 1,130,840 | 約 88.5 |
| 2023/03 | 9,281,027 | 1,020,728 | 1,020,728 | 1,116,496 | 約 90.7 |
| 2024/03 | 11,890,350 | 2,127,958 | 2,127,958 | 1,490,781 | 約 124.7 |
| 2025/03 | 13,629,997 | 2,669,483 | 2,669,483 | 1,862,946 | 約 160.0 |
📌 2024年度(2024年3月期)業績のポイント
✔ 売上高(連結):11,890,350百万円
✔ 営業利益:2,127,958百万円
✔ 経常利益:2,127,958百万円
✔ 当期純利益:1,490,781百万円
✔ EPS(1株当たり利益):約124.65円
📊 5年業績トレンド概要
- 売上高(連結)
- 2021〜22年度は微増だったが、2023年度から大幅増加トレンドに転じた。
- 2024年度も約1.19兆円と大幅増、2025年度ではさらに約1.36兆円へ成長。
- 営業利益・経常利益
- 2021→2024年度で5倍超改善(約3970億円→約2.13兆円)で収益力強化が鮮明。
- 当期純利益
- 2021年度の約7770億円から約1.49兆円へ拡大。2025年度にはさらに約1.86兆円へ。
- EPS
- 2021年度から2024年度にかけて約2倍超の増加傾向。
📈 傾向まとめ(数字根拠)
- 売上高:2021–2024年でほぼ倍増ペースの増収。特に2022→2023→2024の連続増勢が顕著。
- 利益面:純利益・営業利益ともに量的拡大+収益性改善が見られる。
- EPS:株主還元力の強化・利益成長の表れとして着目。
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財務状態(直近)
※自己資本比率等は公開IR資料ベース(中間報含む)。
| 財務指標 | 数値 |
|---|---|
| 自己資本比率(CET1比率) | 約10.5% ※中間決算時点 |
| Equity-to-Asset Ratio | 約5.2%(2025/9時点) |
| 総資産 | 約404兆円超 |
| 営業CF | プラス推移(前年度実績※詳細開示必要) |
| 投資CF | 大型投資実行中 |
| 財務CF | 自社株買い・配当など安定還元 |
🟡 評価:
- 財務基盤は非常に強固、資本充実率・流動性とも高水準。
- 堅実なキャッシュ創出と配当・買戻し余力あり。
事業セグメント別売上と利益構造
MUFGは典型的総合金融グループで、以下の主要セグメントを展開しています(IR資料ベース)。
- リテール銀行:預貸業務・個人向けサービス
- コーポレート銀行:法人向け融資・資金調達支援
- マーケット部門:為替・債券・デリバティブ
- 信託・資産運用部門:相続・資産管理・投信等
- グローバルCIB:海外企業向け金融サービス
🟡 要点
- 稼ぎ頭は預貸金利益と海外CIB収益。
- 成長投資領域はAI・デジタル化・代替資産投資。
競合比較(主要金融グループ)
| 指標(概算/2025〜2026) | MUFG | SMBC Group | Mizuho FG |
|---|---|---|---|
| 総資産規模 | 約2.9兆USD級 | 約2.0兆USD級 | 約1.9兆USD級 |
| 主力銀行 | MUFG Bank | SMBC | Mizuho Bank |
| セグメント強み | 海外CIB・Morgan Stanley連携 | 総合金融サービス | 非日常融資・IB強化 |
| ROE/収益性 | 中〜高水準 | 同等 | やや低 |
➡︎ 強み・弱み
- MUFGは海外ネットワーク・大規模資本が強み。
- SMBCは多様なリテール路線優位。
- Mizuhoは収益改善がやや遅い面あり。
成長ドライバー
定量・定性要因
- 国内利ザヤ拡大(BOJ金利政策転換の恩恵)。
- 海外CIB・Morgan Stanley投資利益。
- デジタル金融・AI導入推進。
- 信託部門の代替資産拡大目標(2030年に倍増計画)。
株価の割安性
| 指標 | MUFG |
|---|---|
| PER | 16〜17倍レンジ |
| PBR | 約1.48倍 |
| 配当利回り | 約2.6〜2.7% |
🟡 評価:
- 銀行株の歴史的平均と比べるとPERはやや低め。
- PBRも過去平均を下回る時期があるため割安視余地あり。
アナリスト評価(公表データより)
- 多くの証券会社は中立〜買いレンジ評価を継続する傾向あり。
- コンセンサスでは目標株価が現状を上回るケースが多い(具体値は最新IR待ち)。
- 強気理由:利ザヤ改善/配当、弱気理由:短期株価モメンタム低下。
主要リスク
| リスク | 影響 | 確率 |
|---|---|---|
| 金利政策変更 | 中 | 中 |
| 海外景気後退 | 中 | 中 |
| 信用コスト増加 | 中 | 低 |
| 規制・資本要件強化 | 小〜中 | 中 |
今後3〜5年のシナリオ
強気
- 金利上昇持続 → 利益拡大、株価上昇
- 海外CIB伸長・デジタル化成功
中立
- 国内金利正常化、株価はボックス
弱気
- 景気後退 → 融資リスク増
長期投資家視点
評価:買い寄り
- 財務基盤堅い
- 配当・割安性魅力
- 成長投資余地あり
短期トレード視点(1〜3ヶ月)
注目ポイント
- サポート:年初来安値圏戻り水準
- 抵抗:3,000円付近
- 出来高重視のブレイク観測
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【結論】三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)の株価は、なぜ金利上昇局面でも伸び悩むのか
本記事の分析を踏まえた結論は、次の一文に集約される。
三菱UFJフィナンシャルグループの株価が下落・伸び悩んでいる最大の理由は、
「金利上昇=銀行株上昇」という分かりやすいシナリオが、すでに株価に織り込まれ切っているためである。
つまり、業績が悪いから売られているのではない。
期待が先行しすぎ、その期待をさらに上回る材料が見えにくくなっていることが本質だ。
① 金利上昇メリットは、すでに株価が先取りしていた
2023年以降、市場では
「日銀の政策修正 → 金利正常化 → 銀行の利ザヤ拡大」
というシナリオが強く意識されてきた。
この期待を背景に、三菱UFJの株価は1,000円台から3,000円近くまで急上昇している。
つまり、金利上昇による業績改善は“これから起きる話”ではなく、すでに株価に反映された話だ。
その結果、2026年に入った現在、
- 想定を上回るサプライズが出にくい
- 「想定内の好決算」では株価が反応しない
という状態に入っている。
② 金利は上がっているが、銀行にとって理想的な形ではない
銀行にとって最も利益が出やすいのは、
- 短期金利が低く抑えられ
- 長期金利がしっかり上昇する
という、イールドカーブが急な状態だ。
しかし実際には、
- 景気減速への警戒
- 日銀の急激な引き締め回避姿勢
により、金利カーブはフラット化気味となっている。
利ザヤは確かに改善しているが、
市場が期待したほどの「爆発力」はない。
このため、
「金利が上がっているのに株価が上がらない」
という違和感が生じている。
③ 業績は堅調だが、長期的な“成長の物語”が見えにくい
三菱UFJは、
- 財務基盤が極めて強固
- 利益水準は過去最高圏
- 配当も安定的
という、優良企業であることは間違いない。
一方で株式市場は、常に
「5年後、10年後にどれだけ成長しているか」
を問い続ける。
AI、半導体、防衛、エネルギーといった
明確な成長ストーリーを持つ分野と比べると、
銀行株はどうしても
「安定しているが、爆発力は乏しい」
という評価になりやすい。
このため、地合いが悪化すると
利益確定や資金退避の対象になりやすい。
④ 「売られている」のではなく、「資金が移動している」
重要なのは、三菱UFJが
悪材料によって叩き売られているわけではないという点だ。
実態は、
- 銀行株で一定の利益を確保した投資家が
- 次の成長テーマへ資金を移している
という、資金循環の局面にある。
言い換えれば、
三菱UFJは「評価を失った銘柄」ではなく、
「一度主役を務め終えた銘柄」として扱われている。
投資家はどう向き合うべきか
以上を踏まえると、三菱UFJの位置づけは明確だ。
- 短期的に急騰を狙う銘柄ではない
- 一方で、業績悪化を前提に売る銘柄でもない
「配当を受け取りながら、次の銀行株テーマを待つ銘柄」
あるいは
「再び金利・金融政策が主役になる局面まで距離を取る銘柄」
という位置づけが現実的だろう。
一文でまとめると
三菱UFJフィナンシャルグループの株価が伸び悩む理由は、
金利上昇という“分かりやすい追い風”が、すでに過去の材料になりつつあるからである。
総合評価(10点満点)
7.5/10
理由
- 金利改善の恩恵で収益基盤が強化。
- 割安性と安定配当が投資魅力。
- 短期株価は重いが中長期では回復余地あり。
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